ペッブリーの夜は更けて BY:雷太

前書き・・・これは2000年1月から1ヶ月ほどタイを訪れた時の僕こと、雷太の売春紀行文です。短い滞在期間の中で「安く風俗を」をコンセプトにバンコクを練り歩いた時の様子を書いてみました。 最初は本当は自らのHPを立ち上げてそこにアップさせようと考えていました。 が、外道の細道のサイトを知り、多くの外道者に自分の歩いてきた道を知ってもらう為にはアクセス数の多いサイトに投稿した方がやはりベターと考えました。2年前の事なので参考になるかどうか分かりませんが、タイに行った事がない人に対して少しでもあの気だるい雰囲気が伝わればと思います。文中の宿泊施設(ホテル/ゲストハウス)、売春宿、MPその他施設の住所・電話番号等の情報は100%真実です。 ただ人名、年齢、身分等は全て仮称にしてあります。(2002年2月4日 雷太)

外道の細道

その1   オーイとのハードファック

1月14日午後4時半、バングラデシュ航空機は定刻通り、椰子油の匂い漂うドンムアン空港に着く。
横浜の自宅を出たのが早朝6時だったため、摂氏7度を指していた厳寒の日本に比べればバンコクのねっとりとした空気は堪らない。今回は会社を辞めてからの息抜きということで1ヶ月程度の滞在を予定していた。
大学時代の友人、佐々木も来タイ予定だが時間的な折り合いがつかず、奴は12日後に遅れて来るというので結局一人でいられる数日間を満喫する。 バングラ機は以前シンガポール経由バンコク行きだったのだが、2000年1月からバンコク直行になり6時間で成田から連れて来てくれる事になったらしい。途上国機は大抵定刻通りに飛ばない事が多いので、「今夜は深夜着かな……」と勝手に解釈していたのだが、逆に拍子抜けしてしまった。
自宅を出るときから着ていた白のセーターをドンムアン一階のトイレの中で脱ぎ捨てる。アメリカで買った、だぼだぼの青のジーンズと知人から貰ったシンガポール製のシャツを着て空港前の国道で29番の市バスを待つ。
しばらくして冷房の29番が来て乗る。しかし戦勝記念塔辺りで行き止まりということを知り、仕方なく降りて出来たばかりの高架鉄道に乗ってみる。これ札が使えないので不便この上ない。いちいち小銭に両替しなければならない。
乗ってみて分かったが下走っているバスに比べればこっちは人も少なくガラガラ状態。いても外人か金持ち風タイ人だけ。 音もなく車内は冷房も効いていてグッド。
サヤームで降り国立競技場の前にあるプラーニービルディングというゲストハウスに荷物をおろす。ここは一泊300バーツで水シャワー、タイ式トイレ、扇風機付。スクンビットやパッポンに比較的近いので3泊した。
時計を見ると既に7時。プラーニーの前の屋台でパッピヤオワーン、ケーンチュットを頼む。1年ぶりのタイ、久々のタイ料理にスプーンが運ぶ。  満腹になってバスでナナに向かう。僕はナナにお気に入りとか常連になっている店はないため、気兼ねなく中を歩けるのがいい。向こうに顔を知られてない事が逆に遊びやすいのだ。昔行ったことがある2階のDC10に入る。くたびれた感じでテクノに合わせて踊る女の子。 客は僕を入れて3人。シンハ一本で40分近くいた後、店を出る。 歩いてグレースホテルに行くことにした。 アフリカ人やアラブ人だらけの横丁を通ってグレース一階のカフェに入る。 途中6,7歳ぐらいの幼い女の子が雑草みたいな花をグレース前の駐車場入り口で道行くアラブ・アフリカ連合に声をかけていた。そんなの誰買うんだ?
グレースは2度目だったのだが去年初めてここに来た時は正直、ビビッテしまってカウンターでポッチャリ系で多少インテリっぽい女と少し話しただけで退散してきた経緯がある。 他のコーヒーショップに比べれば年増が多く、太っている子が多いのは気のせいではない。
今夜は少し落ち着いて入れそうだ。
中入ると、入り口手前の席でアラブ人風の男が僕に声をかける。
「あなたはどこから来たんですか?」
「ん? ええと日本から」
「本当? 韓国人かと思った。あなた韓国行ったことある?」
「ないよ、僕のこと韓国人と思ったの?」
「そう、私今韓国に住んでる。 ちょうど休暇で1週間ほどタイに遊びに来たって訳。てっきりあなた韓国人かと思ったよ。もしよければこっちに座りませんか?」
御互いテーブルの上で自己紹介した。 彼の名前も聞いたのだが、忘れたのであえてアラブとする。アラブはパキスタン出身で出稼ぎで韓国にいるらしい。丁寧にも韓国の外国人登録証を見せてくれた。
席に着いたからには何か頼まないといけないのでメニューを貰うとアラブがビールでいいか?と尋ねるのでハイネケンを貰う。 彼が払ってくれた。
しばらく話しているとちょうど僕らのテーブルの左横の円形テーブルの方から毒々しい熱い視線を感じた。目をやると40過ぎぐらいのおばさんが待っていましたとばかりにこっちを見つめる。 見るなブタ….
と思ったらこのおばさん片言の日本語で「あなた日本人?」と。
「イエス…」
「見てこの子達、あなた女の子探しに来たね? タイの女、かわいいね。見てあなたどの子タイプか?」                      
「日本語うまいですねー。日本行ったことあるんですか?」
「あたし昔東京行った。 あなた東京か?」
「えー東京なんだけど。んーじゃなくて横浜、知ってる?」
「あー横浜。行った事あるよ。AYASEって知ってる?」
「AYASE? どこ?東京?」
「あなたAYASE知らないか? ほんとに東京から来た?」
「AYASE….あー綾瀬って言ってるの? あの足立区とか千葉の方の?」
「そうそう!アダチ!そこあたしいたね」
このおばん、白い化粧塗りたくって例えれば僕のカアちゃんに似ている。タイまで来てカアちゃんに会うとは思わなかった。 おばんはしきりにおばんの周りにいた女の子4人をどうかと薦めてくる。その内、僕の手を取ってカフェの入り口まで連れていく。女の子4人のうち2人も一緒だ。アラブには後で戻るからよろしくと伝え、おばんに引っ張られて入り口のでかい柱にもたれ掛かり、女のセールスが始まる。
おばんはのたまう。
どうやらアラブ人は嫌いらしい。以前アラブ系の男がタイの娼婦を包丁で惨殺する事件があったらしくおばんはしきりにあの男とは付き合うな、アラブはロクな奴がいないと僕を説得する。 まあ別にあのアラブに何か吹き込まれている訳ではないのだが。
その内に僕の手を取りグレースの玄関へと向かう。おいおいどこ行くんだ?
一晩1000バーツでどうかと言っている。言い値でも安いが昔ここにいた白人に聞いた所によると500バーツが相場らしい。 んでもって500バーツしかないと嘘をつくとおばんは一瞬無言になる。おばんの横にいた子は見た目20歳前後かと思えた。目が大きく、長い髪で唇もはっきりしていてセクシーだ。 とびきり美人と言うわけではないが、背が低くてポッチャリした体型を除けばまあいい線いっているんじゃないかと思う。彼女は笑顔でいつのまにか僕の左腕を絡ませている。「この子500バーツだね?」と確認するとおばんは少ししてそうだと仕方なく折れてくれた。でも値切ったせいか2時間のショートらしい。日本から来たばかりの僕にとっては、たまりにたまったザーメンを吐き出す口として我慢が出来なかった。
彼女はオーイと言いドンムアンの免税店で働いていると言う。月給5000バーツが安いので時々グレースに来て男を見繕っているらしい。 タクシーに乗るのだが何と!おばんも乗ろうとしているではないか!
「何やってんの?」
「あたしも行くね。この子一人じゃ危ない、アラブなんか部屋で殺しちゃうんだからね」
「あなたホテルの玄関で待ってるの?」
「そうそう、終わるまで待つ」
やれやれ、部屋でやっている間待たれるのもいやだがしょうがない。おばんとオーイに挟まれてスクンビットを夜1時国立競技場方面へと向かう。 タクシーの中ではおばんと僕は日本語で話していたのだがオーイとはタイ語で話していた。断っておくと僕のタイ語は最低限意思の疎通が出来る範囲であって文字は読めないし、もちろん書けない。
おばんは又運ちゃんとも何かしらタイ語でベラベラ話しているのだが僕がタイ語でオーイに話し掛けるとおばんが烈火のごとく怒るのだった。いわく「あなたしゃべると運転手がどういう関係なのか分かっちゃうでしょ。あたしとしゃべってなさい」と。運ちゃんもうわかってるっちゅーの。オーイはそのやり取りを見て笑っていた。
プラーニーに着くと既に門が閉まっており、ピンポン鳴らして宿の主を出す。 しばらくして若いスタッフらしき奴が眠そうな顔で門を開けにかかる。謝りつつ3人で門をくぐる。
若い日本人男とタイ女、おばんの組み合わせを奴はどう思っただろう?

フロントでおばんは待っているとの事でやっと二人っきりになれる。オーイは僕の腕に無言でしがみつく。部屋に入りしばらく二人で話す。どこから来た、いつまでいる、どこに行く予定か、何歳か、とありきたりな質問に答えた後別々にシャワーに入る。
部屋は暑い。扇風機がただ暑い淀んだ空気を掻きまわしているだけだ。おたがいシャワーを終えて涼しくなったところでベッドに横たわる。
熱いキスをオーイにあげると舌を入れてきて長いディープキスに変わる。僕に身を任せ、彼女が下になる形で愛撫が始まる。耳を舐めるのが好きで、よく耳穴に舌を伸ばしたりするが大抵の女の子は「チャカチー」と言ってくすぐったがる。その反応を見るのも又好きなのだ。オーイがコンドームを持っていないことを知ると僕はヤワラーの雑貨屋で買った2枚30バーツのコンドームを出す。これストロベリー味とか書いてあるがチンコに装着するとこの上なく恥ずかしいのだ。ゴムが真っ黒なので着けるとベイダー将軍を髣髴させる奇妙なものになる。
彼女は何も言わず、無言で臨戦体制に入る。それにしてもゴム持ってないと言うことはどういうことなんだろうか?御互い持ってなくて生でやることあるのかな?
オーイはすぐにでも欲しいようで、まあ早く終わらせたいというのもあるのかもしれないが、息子を入れようと手を伸ばしてくる。そんな彼女を無視し大き目のおっぱいにむしゃぶりつく。小さ目の乳首をゆっくり吸うとオーイは「ハアーン アアア」と感じ始める。おっぱい舐めてこんなに感じられるのは初めてなので夢中で舐め続ける。僕の口は下半身に向かいへそ辺りをいたわる。右手は柔らかい膣肉を人差し指と親指で広げる。部屋は電気をオフしてあったので、彼女の秘部はよく見えない。下腹部を舐めながら両手で股を広げ、温度の高くなったオマンコを指で丁寧にマッサージする。クリを撫でると「アーン マイダーイ」と。(笑) その内オーイは我慢できない様で両手で僕の体を重なるように導いていく。 と同時にギンギンに硬くなった黒い将軍に手を添えてあそこに入れようとする。
僕は多少じらしながらゆっくり彼女のヒダヒダを確認しつつ、挿入を試みる。そう思っているうちにオーイは突然僕の尻を両手で抱えて手前に引き込んだ。 将軍が奥方に自己紹介している最中に、突然僕の前から姿を消した。膣の中はゴムでチンコが覆われているとはいえ暖かさを感じる。ああ気持ちいい。 70キロある僕の全体重がチンコを中心に彼女にかかる。 完全にオーイの子宮に入り彼女は感嘆の声を上げる。
ゆっくり出し入れをしながら彼女の顔を覗くとオーイは両手で僕の顔をつかみディープキスをする。それも窒息しそうなぐらい強烈に舌を絡めて離さない。上と下の口を御互い合体させながらベッドが右往左往にきしむ。 ギッギッギッてなかんじで。
強烈なキスから口を離すと目をつぶりながら部屋に響く声で「オーイオーイ アーン アハン」とすごい。
5分ぐらいで形成逆転して彼女が馬乗りになる。おっぱいを下からもみしだく。久々のセックスに気持ちよさが増す。 オーイはそのマンコを思いっきりチンコになすりつける様に円運動をずっと繰り返す。その内にタイの女にありがちなのだが、うんこ座りになってボーリング工事をするような感じで垂直にまんこが将軍を突いていく。こっちは動かなくていいし女が一人で動くのは興奮するのでそのままそのまま。 オーガスムを極める数秒前と言ったところか、両足を僕の尻に合わせて一番奥深く入るところを知っているかのようにまたマンコの円運動が始まる。
「オーイオーイ アハーン アッアッ オーイ」と口の形が本当におの字になっている。
その内もっとピストンが激しくなって彼女の体温が上がっていくのが分かる。マン汁が僕の陰毛を濡らして腰の辺りをスッと筋になって通っていく。すごい量だ。
“アウッ!”と言った感じでようやく果てたオーイはズサッと僕にもたれ掛かってくる。マンコはヒクヒク痙攣しながら繋がったまんまだ。
「セッレーオマイ?」
「カー、セッレオカー。サバイサバーイ チャンルーイ」
僕はまだイッてないので疲れているオーイを休むまもなく持ち上げ対面座位に持っていく。彼女はそれでも嬉しい様で、熱く熟した膣肉でまた将軍を中に入れる。おっぱいを舐めながら座位でピストンを繰り返すこと数分、突然けたたましい電話の音に2人とも吃驚した。
直感でおばんだなと思った。僕が繋がったまんま電話に出ると案の定おばん。
僕が「ローディオ、ヤンマイセッナー」というが、なんだかギャースカぬかしているのでオーイに代わる。彼女は笑いながら何やら話しているが少しして電話を切る。どうやらおばんには2時間が長く感じるらしい。そりゃそうだ、あのフロントで時間潰せといったって何もすることがない。
気を取り直してピストンを続ける。その内にフィニッシュを悟った僕はイキ場所に正常位を選んだ。彼女は正常位になると“キスしながら”を望む。これがバキュームキスと名付けたいぐらい吸引力がすごいのだ。血が出るのかと疑うぐらい。
脳にイク指令が出されてから両手で彼女を抱きつつキスを辞めて官能的なオーイを見つめながら、思いっきり上下運動。熱いマンコにドクドク放出した。
彼女は笑いながら僕を抱きしめる。終わったのにまだゆっくりマンコを動かす。僕がマイダイ言ってゴムを外すとかなりの量が出ていた。
しばらく2人で放心にふけっていた。オーイはこうしてみるとああかわいいなと思えてくる。まるで恋人同士の様に。
腕時計を見ると3時半。御互い又シャワーに入り約束の500バーツを渡す。 タクシー代として100バーツ余計に渡すと、ひざを曲げて「コップンカー」とね。いいですねこのフレーズ。
オーイはポケベルを持っているので番号を渡すと言う。 が、紙と鉛筆がない。しょうがないので日本から持ってきた文庫本の裏表紙にオーイが口紅の先っぽで番号を記してくれた。どうやってこれベル鳴らすのと尋ねると最初の1500にダイヤルしてオペレーターが出たら残りの6桁の数字を伝えればいいとの事。わかりました。 下でおばんが待っているので早く帰らなくちゃいけないらしい。またおばんに会うのも面倒なので明日昼にベルを鳴らす約束をして部屋の前で別れる。鏡を見ると口の回りはオーイの赤い口紅で真っ赤だった。 彼女ほど喘ぎ声が大きかったコは初めてだった。
バンコク最初の晩にして疲れてしまいそのまま就寝。





その2   4人へのポケベル

翌日昼頃目を覚ます。 実は娼婦だけを抱くのもいいのだが、今回は普通の女の子とも友達になってしまおうということでバンコクの女子大生とアポ取りすることにした。
タイに来る4,5日前自宅でICQのチャットで予め的を絞ってタイに行ったら会いましょうねと約束を一応していたのだ。一人はタマサート大マスコミ学部写真学科のナット、もう一人はアサンプション大美術専攻のノック、あとはチュラロンコーン大学のチェルシーだったと思う。3人ともベルなので昨夜のオーイと合わせて4人のベルを鳴らす。
プラーニーの電話番号とルームナンバーをオペレーターに伝えダッシュでフロントに戻る。 しばらくしてフロントが僕に電話だと言う。 誰からだろう? オーイかな?と思ったが、声の主は違った。チェルシーだ。彼女は今家かららしく、もし会えるのなら来週になるがいいかと聞いてくる。声の感じブスっぽかったのであーこれは会っても驚愕するなーと思い、プラーニーの住所を教え受話器を置く。あれ?オーイから応答ないな?と思いつつ10分が過ぎる。 ちゃんとベル鳴らしたよなと疑いつつ待ってみるとまた僕宛ての電話が来た。今度はタマサートのナットからだった。
「ハロー?雷太さんですか?」
「そうです。君と話せて嬉しいよ」
「アハー私もです。今どこにいるの?」
「えーっとね、国立競技場の前。マーブンクロンの近くって言えばわかるかな?」
「あーわかった カオチャイカー タイにようこそ」
「ありがとう、こっちは暑いね本当に」
「そう暑いわよ」
「ところで昨日予定通りこっちに着いたんだけどナットいつ会おうか?」
「えーと、あさっての土曜日だったらどうですか?」
「いいよ、じゃあねどこで待ち合わせしようか? マーブンクロンのマックの前ってのはどう?」
「OK! じゃあ昼の2時ね!でも初めて会うし、どんなかっこしているの?」
「んーとね、灰色のTシャツに短パンはいてて、カメラ持ってるよ背は180センチぐらい、それで分かる?」
「分かったわ、私は茶髪で長いスカートはいてて、うーん多分分かると思うわ、髪が目立つから」
「ナット茶髪なんだ」ふとタイ人の茶髪が想像つかなかったが、約束した後受話器を置く。彼女は声の感じからして良さそうだ。柔らかい口調で落ち着きがある。かわいかったらどうしよと妙にワクワクしてしまう。
ところで僕はスキャナーを当時持ってなかったため僕の写真を彼女達に送れなかった。と同時に彼女達の顔も知らない。会うまでどんな子なのか分からないのだ。テレクラみたいで面白いのだが反面すごいのが来たらどうしようというのもあった。
それから幾度となく待ってもノックとオーイからは連絡がなかった。 しょうがないので飯を食いにヤワラーに向かう。22日ロータリーのイサーン屋台でガイヤーン、トムクンガイ、もち米とコーラを頼む。70バーツ。今日は金曜なのでナットと会う明日まで何をしようか考える。今回はタイの風俗と呼べるものは殆どトライしてみようということでインターネットで仕入れた情報を元に活動してみようと思った。今まで堪能したタイの風俗は、ホテトル、ゴーゴーバー、コーヒーショップぐらいだったので、初体験のマッサージパーラー、置屋、タイ人御用達のカフェー、茶室、立ちんぼ色々見てみようと思案する。





その3   ヤらしいチェンマイ娘

夜になりアジアホテルのあるラチャテヴィーに向かう。ここはバンコクの中でも特に売春を斡旋するホテルと言うことで僕の頭の中では有名な場所だった。
アジアホテル右横のソイを真っ直ぐ進むと右手にパックディー(Tel 282−0288)という置屋、或いはナンバーホテルとも言うのだろうか、がある。 ここ地元の人でも有名な場所でタクシーやトゥクトゥクの運ちゃん御用達の売春宿だ。
それを無視して真っ直ぐ歩く。観光客が足を踏み込みそうにない路地だ。小さな中国寺院や炒め物屋台、ジュース屋台、バミーナーム屋が軒を連ね、プレステを時間貸しする店やインターネットカフェなんかもある。 バリバリすごい音を立ててバイクが細い路地を行き交う中、セブンイレブンを超えた辺りで怪しい建物を見つけた。タイ語なので読めないが外観からして置屋なのは一発で分かった。
中に入ると駐車場がある。パックディーと同じように部屋の外に車を一台置ける駐車場がありナイロンのカーテンで車や部屋が隠れるような作りになっている。
一人の30前後のやり手野郎が手招きしてやってくる。 僕の歩く方向に合わせこっちだと言う感じで1階のある小さな部屋に招かれた。
中はピンク色の蛍光灯で怪しく光っており、大き目のベッドがあるだけ。あとはバス、トイレ。 男はオールナイトかショートかを尋ねる。 値段を聞くとショート600バーツだって。 安いなあ。 分かっていても一応値切ってみるのが僕の癖になっていて400じゃ駄目か?というが駄目だった。 ショートは1時間ということでまあ女を見てからでも遅くはないと思い女を呼んでもらった。  男が部屋を出てしばらくすると、女が2人入ってきた。 え?2人だけか? 選択肢がないじゃんよと思いつつ見ると一人はちょっと視覚的にパス、もう一人の子が肌が白くいかにもチェンマイ美人と言った感じだったので600バーツを男に渡す。
男を含め3人ともいったん出た後、しばらくして彼女が洗面器やボディーシャンプー、リステリン、ベビーパウダー、歯ブラシ、歯磨き粉の入った桶を持ってきた。 彼女は案の定チェンマイ出身で22歳、背が160といったところ。 ほっそりした体でとにかく肌が白くて綺麗だったのは印象に残っている。 ギブという名の彼女はこの仕事初めてまだ2ヶ月らしい。
最初に部屋に入ってきたときからそうだったのだが、淡いピンク色のシルクのネグリジェを着て登場してきたときは正直見とれてしまった。 すごくセクシーだった。
でもやはりこんな地元の野郎しか来なさそうな場末の置屋に夜9時に日本人が一人でやってきたもんだから、彼女の脳裏には“相当侮れない奴”みたいな印象があるに違いない。 こわばった顔からそんな表情を読み取った。 今ごろ右も左も分かりませんみたいな仕草をしてもバレバレなので普通に振舞った。
ギブはシャワーを浴びなさいねとつっけんどんに言う。 シャワー室は4畳半ほどの広さで洗面台と共用になっている。 タイ式の便器が横についており2メートルぐらい長いホースが蛇口から垂れている。 簡単に体を流した後ベッドに戻るとギブは裸にバスタオルという格好で僕が上がるのを待っていた。 パンツやシャツはハンガーに掛けられ壁に吊るされているのを見ると、意外にも丁寧な奴だなと思った。
彼女が出てきても別に笑うわけでもなく嫌がるわけでもなく無造作にベッドに横たわった。
こいつひょっとしてマグロか?とも思ったがそうじゃなかった。 ただ毎日同じルーチンワークに飽きているようにもとれるし、まあ600バーツの内訳がどのぐらいなのか検討もつかなかったが、ギブに聞くと200バーツが自分の取り分らしい。絶句。
明かりを洗面所だけにしてドアを少し閉めるとちょうど良いムードが出来あがる。
この部屋は壁の半分近くが鏡になっておりやってる最中が丸見えと言うナイスな作りになっていた。 キスをしようとすると拒む。 仕方なく全身愛撫発揮。 耳奥から首筋、脇の下、おっぱいそれから下へと段々舐め方が粗くなってくる。 マンコは病気が怖いので付け根を舐めるのを限界とし後は指攻撃だ。 1時間以内のセックスというのは非常にせわしないもので出来れば長い方がいい。
ギブは声は一切出さず、僕が足を丹念に舐め回しているときはチャカチーいってくすぐったがっていたが彼女が興奮していくのは手に取るように分かった。
肌が透き通る様に白く、ピンと張っている。タイ2日目にして不精髭が目立ってきたせいか体全身を愛撫するも髭で痛がってるのが分かった。 今度からはセックスする前に髭そっておこう。 部屋の中は冷たいぐらい冷房が効いているので気持ち良かった。おまけに彼女の体もヒンヤリとして抱きしめると柔らかいのと涼しいのでそれだけでピンコ立ちになってしまう。
ギブは用意していたコンドームを破ると透明のゴムをイとも簡単に付けてくれる。
ゴムフェラである。 まあいいや。
少したってから彼女が馬乗りになる。 硬くなったチンコにあのオーイと同じようにウンコ座りファックが始まる。 湿ったオマンコがこちらからでもゆっくり見える。 クーラー音でガタガタいっている部屋にギブの発するパンパン!という感じの結合音が響き渡る。
下から見上げるギブは腰が締まり、胸がふくよかで、見ていて興奮せずにはいられない。 あそこに目をやる。 少な目の毛がかわいい。 引き締まったギブのおなかに右手を当てて、「ああ今この辺にチンコがあるね」と言うと彼女は恥ずかしそうに目を逸らしていた。上下に均等に動く自分をギブは壁側面に広がる鏡を通して細目で見ている。 ヤらしい娘だな。
今度は駅弁をする。 彼女軽いので楽だった。それでも2分ぐらいすると両腕が張ってきてきつくなってきた。 ギブは目をつぶったままハッハッいっている。
ベッドの淵に僕が座り鏡を前にしてベッドのスプリングを利用して座位。ギブの一筋の背骨が子宮の奥深いところに入る時にピンッという感じで毎回はっきり見えるのがすごくセクシーだった。ギブ自身が動いている事が一層チンコを硬くさせる。 まるでマンコだけが生き物の様にグチュウ、ニュポッというスケベな音を立ててチンコが出たり入ったりしている。 彼女にもう一度キスを試みると唇だけのキスを許してくれた。
正上位になり僕の両手は彼女の両足を思いっきり広げる形になる。両足が彼女の顔に並ぶと思いっきり長いくさびを打ち込んでいく。 ギブは相変わらずフンッフンッぐらいしか言わず、眉間に皺を寄せながら息が荒くなっていく。 体が小さいのと膣の浅さは関係があるのかどうか分からないが彼女のバギナは浅い様に感じた。  濡れたピンク色の皮の厚い恥肉はチンコが出たり入ったりするたびに引きつった膣内の肉がコンニチハと顔を覗かせる。 
しばらくしてすごい勢いで彼女が腰を下になりつつも動かし始める。
両手で僕の尻をムンズと掴んで離さないといった様に、熱い秘部がまるで独立した生き物の様に伸縮活動を繰り返してその内果てていった。
「ハー フィニッシュ ナ?」 ギブはそう言って今何時かと尋ねてくる。 まだ30分しかたってないことを言うと安心した様子だった。 時間を気にするのはやめようや、東京じゃないんだから。
その内彼女もまた動き出し楽な騎上位になる。 汗でしっとり濡れたギブは汗を拭きつつグラインドを辞さない。 柔らかい肌に長く触れていると興奮し出してイッてしまうので結合部分だけにして後は体を離す。 
ドギースタイルになってもらおう。 丸く白い尻にチンコを導く。 枕を二つ縦に並べてその上にギブを寝かす。体重が枕にかかるから女は体を支える必要がないのでこの方が楽だ。背の低い女の場合こうすると膣と亀頭の位置関係も良い。
膣を覗く。 ピンク色のきれいな肉をしている。中の肉は勿論濡れていて指を入れるとキュッと締まる。 こんな綺麗な白い肢体の中に僕の汚いチンコを挿入してもいいのかな? バックでしばらくやっていると又ギブが隣の鏡を覗いている。 
頂点を感じそのまま精液をぶちまける。 気持ちがすごくいい。 
御互いグッタリして寝る。 セックスが終わると汗がどっと出る。 冷房してても暑いくらいだ。 彼女がシャワー浴びている間にスイッチを強にしようとするがオンオフのボタンだけで温度調節が出来なかった。 
彼女は身支度をして僕にもシャワーを入れと言う。 汗を流すと彼女はさっきのシルクのネグリジェに着替え化粧をしていた。 素っ裸の僕にベビーパウダーを満遍なく塗りたくってくれた。 プリッキーヒートという商品名なのだが、塗ってしばらくするとひんやりするのだ。 疲れて久々に膣内からシャバの空気を吸ったチンコにもたくさん塗りたくってくれた。 段々チンコが熱くなるのを知っている彼女は僕があーなんか変な気分….というとクヒヒといって笑っていた。
置屋の名刺(SRI THONG HOTEL Tel215−8337 215−8338)の裏にギブとタイ語で書いてくれた。 次もし来ることがあったらギブを呼んでねということだった。 また来るねといって部屋を出る。チップを渡そうと財布をまさぐっていると彼女はもう2階に行く階段をスタスタ昇っていってしまった。
置屋を出る。
時計は10時15分。 セブンイレブンの前まで戻りパッホイラーイとスプライトを頼む。
僕が今しがた歩いてきた道は小学生ぐらいのガキどもが何事もなかったかの様にサッカーに興じていた。 そのバックにシートンの怪しい原色の蛍光灯が見える。
性欲と食欲が同時に満たされた夜だった。





その4   ハーフ

ラチャテヴィーからそのままパッポンに向かう。 ゴーゴーバーに行くちょうど良い時間だ。 1月のタイの夜は涼しい。オレンジ色に発光する高圧ナトリウムランプが深夜のパヤータイ通りを照らす。 時速80キロは出ているんじゃないかと思うくらい三菱製のバスは思いっきりすっ飛ばしていく。初めてタイに来た5年前はこの暴走バスに相当びびッたものである。 タイラット誌の一面や191(ヌンガオヌン)、アチャヤーガムを見ると良く分かるが、バイクやトラック、バスの横転事故が頻繁にあるのだ。 運転マナーを見ればよく分かるが、そりゃ死ぬわけである。 ギブの安っぽい香水の残り香を漂わせながらパッポンに着く。 屋台を冷やかした後キングスキャッスルに入った。
中は朦朧としていて客と女でごった返していた。案内係に席を案内されクロスターを頼む。 そいつがそのまま僕の隣に座りコーラおごれ攻撃に出る。 僕もかわいいとか何か理由があれば奢れるが、会って数秒なので躊躇ってしまう。 段取りを踏まない無機質で非建設的な態度にむっとした。しかも顔は僕の好みではない。
態度で分かったのか女はまた客引きしに外に出てしまった。 まったく。 
日本だとエイベックストラックスから出てそうなガンガンのトランスハウスが流れている。長くいると脳味噌の中がビロンビロンになってきそうだ。
さすがに踊り子の質は高いと思う。 まあ本当に評価できるのは明るい所で見た時なのだが(笑) それでも僕の興味の的は別の子に向いていた。  あの白人女は何なんだろう? あいつ客だよな? 最近は女性同士の入店も珍しくない。日本のおばさん連中がゴーゴーバーに入っていくのも見たことがある。 バリバリの音楽で隣の会話も聞こえないぐらいだがどうもあの白人女、ウェイトレスと喋っては笑っている。なにやつぞ。
しばらくすると僕と目が合い白人女が笑ってそこに座っていいかとジェスチャーをする。
目が点になっていた僕は唾を飲みこみながらOKを発していた。 こいつここで働いているの? 彼女は175ぐらいで体もそこら辺のタイ女よりも二回りぐらい大きい。
彼女はヘレンと名乗りここで客引きとして働いているのだと言う。 レース状のワンピースを着ていて髪は後ろで束ねている。 金髪で青い目だ。
ただヘレンと彼女が発音するのを聞いてすぐに分かった。 洟が詰まったようなタイ語なまりで「エレーン」といった。 多分タイ人と白人のハーフだ。
彼女はバンコクで生まれ母と一緒に暮らしているらしい。 英語は解せず勿論タイ語である。 左に座るヘレンを眺めては不思議な気分になる。 お、落とし子か? 他のゴーゴーガールやウェイトレスと難なくタイ語で話しては盛り上がっている。 彼女の左にいた30ぐらいの白人男も不思議そうな顔で彼女を見ていた。   黙っていればカオサンをうろついているヨーロッパから来た白人女と何ら変わらない。 一瞬連れ出してみようと思ったが、こんな大きい奴相手にしたら疲れるだろーと思い、やめた。 
ヘレンはしばらくしてコーラが欲しいと言うので飲ませた。 なんか目がトローンとしている。薬でもやってるんじゃないのかな?そんな後味を残して適当に会話をしてキングスキャッスルを後にした。
精力旺盛な同胞は日に3回4回セックスをする御仁もいるが僕は出来ない。 精力がない。 精神的なものもあるがインターバルをおかないと2度目3度目は出来ないのだ。 一回やったら次の日までお預けなのだ。 深夜遅くなりプラーニーに戻ると真っ先に寝た。





その5 ナットとの出会い

土曜日。ナットと会う日だ。
いつもバンコクでの宿泊場所はヤワラーが殆どだったので、出来ればナナやソープに近い場所をと思うがペッブリーやスクンビットにはなかなか安いホテルはない。
カオサンは物価が高いのとタイ人が外人ズレして時々腹が立つので泊まらないのだった。 おおよそ御世話になったのはマイトリチット通りの150バーツの娼館兼旅社、あるいはヤワラー外れのマハーチャイ通りの農民銀行隣にあるニューワントンホテル(NEW VUANG THONG HOTEL 304 sirichai lane 2 mahachai road Bangkok Tel 222−0604、221−6700)にはよく泊まっていた。ここ僕が泊まっていた3年ほど前は380バーツでバス、洋式トイレ、テレビ、冷房、電話、ルームサービス付きですごーくコストパフォーマンスが高かったのだ。 ホテルの奴も対応が良くて、バンコクに訪れるたびに寄っていくとよく来たと言ってお茶出してくれたもんだ。 あとはヤワラーのチャイナタウンホテルの裏手にあるMY GUEST HOUSE(114 phadsai rd. Tel 223−5963、622−6829)だった。 4階の10号室は前に水道の蛇口があり洗濯板や桶もあって便利だったのを覚えている。
ただいずれも王宮やワットポー行くのは近くていいがラチャダー、スクンビット、プラカノンやペッブリーへはちょっと遠かったのだ。  マーブンクロンにあるこのプラーニーも場所が良いのだが夜屋台が一軒もなくて飯を食うのに困ったことがある。
でもって今日はマレーシアホテル界隈に泊まることにした。 界隈であってマレーシアではない、念の為。
まだ東京から来たばっかりだったのでそんなに荷物は膨れておらず、47番でルンピニー方面に向かう。 ここは初めてきた。ルンピニータワーの裏手に位置する何とかゲストハウスにした。  部屋に入って後悔するがシャワー兼便所を越さないとベッドのある独房にたどり着けないような奇妙な設計になっていてまあここはタイだから文句を言うのはやめにしよう。
部屋にいるとそれだけで暑いので、ナットと午後2時に約束していたマーブンクロンに向かうことにした。 バスが着くと果て困ってしまう。 マーブンクロンのなかにマックは三つも入っているのだった。僕の想像したマックは一階のパヤータイに面したガラス張りの大き目の方でナットは果たして分かってくれるだろうか? 約束の2時になりカメラを首から下げマックの熱帯地獄と化した外の玄関で彼女を待つ。 考えてみれば店内の廊下側にも入り口があるのを思いだし、そうだまさかこんな炎天下口じゃ待たないよなと思いつつ、店内に入る。
2時10分それらしき女の子は現れず。 いたけど僕見て逃げ出したりして?と思いつつ待ってみる。 そこへめがね掛けた女の子が何やらこっちをちらちら見ながら横にたたずんでいる。 このブスか?と思ったが、どうやら別の人間を待っていたらしい。 彼氏らしき奴がやって来てマックの中へと手招きしている。よろしくやってくれ。
2時17分。バンコクは渋滞多いから約束の時間より30分1時間遅れるのは常識なんだよネ!と一人言い聞かせながらそれでも待つ。
すると向こうから息せき切って一人の女の子がやってきた。彼女から声掛けられるまでナットだとは分からなかった。 
「コートートナー 雷太さん ごめんなさーい」
「マイペンラーイ。 ナイス トゥー ミーチュー」
ナットは19歳のタマサート大学2年生である。 卒業式にはプミポン国王自ら卒業証書を学生一人一人に渡すという伝統ある格式の国立大学である。 勿論チュラロンコーンと並んでタイ1、2を争う名門大学なのだった。 24歳の僕と5歳違いという枠を忘れさせるほどキュートでかつチャーミングな娘だった。
彼女はチャトチャックに近いウォンサワンの一戸建てに家族と共に暮らしている。父上はどうやら教育省の某局長らしく、彼女自身にもナナやパッポンといった娼婦とは違う、上品で気品漂よう雰囲気があったのを覚えている。 
「ごめんね遅くなって、私がナットです。よろしくお願いします」
「ああこちらこそ、おなか空いてる?どうせだからここはいろっか?」
「イエス」
セットを頼む僕に対して彼女はジュースだった。お腹が一杯だと言う。
ICQで知り合って実際人と会うのはこれが初めてだ。 電話の通り茶髪、長いスカートに青のシャツを着て左手の中指にはオレンジ色のプラスチックの大きな指輪をしている。白いシューズを履いて肩には大きなカメラバッグを下げていた。 なーにそのバッグ?と言うと学校からの帰りなのでカメラが入っているという。 そうだ写真学科だったねー。
「わたしは日本のテレビドラマをよく見るのよ。 毎週見てるわ。ユタカ タケノウチって知ってる?」
「うん知ってるよ。彼は昔雑誌のモデルやっていたんだよ」
「ほんとにー?彼好きよ。 LOVE2000っていう番組なんだけど分かる?」
「へータイではそう呼ぶんだ?」 多分2000年の愛のことを言っているんだと思う。
「いつも日本の音楽とか聞いててユウコ ヤマグチなんか好き。 こっちでは色々ラジオとかでオンエアされてるのよ。」
「そうなんだ。そのユウコなんとかってのは知らないけど、ナットはよっぽど日本通なんだね」
彼女はどちらかと言うと無口な方だった。おとなしくて何か困っているとすぐにか細い声で「どうしたのー?」ってな感じで助けてくれる。 御互い黙ったままでも「雷太さん、私といてつまらなくない?」なんて心配するし。 そんなことないヨ!
ただ、金銭感覚はしっかり親から教育を受けているらしく、僕が奢ろうとしても「あ、私あるから大丈夫!」なんて絶対借りは作らないわ、みたいなしっかりした所があるのだ。 思わず彼女の顔を覗きこんでしまう。 本当にタイの女の子だよね?
正直インターネットで知り合った子なので内心どきどきしていたが、予想に反してかわいかったので嬉しかった。 二人で歩いても当たり前なのだが、皆見向きもしない。 まるで当たり前のカップルの様に。 娼婦と歩くと絶対にタイ人に振り向かれたもんだ。 やはり彼らには分かるんだろうな。
ナットと一緒にヤワラーの両替商(振成豊旅行社有限公司 ROONGSARP TRAVEL SERVICE CO,.LTD 466-8 yawarat rd. sampantawongs Bangkok 10100 Tel 224‐0039 www.roongsarp.co.th Email: rst@roongsarp.co.th )に行く。 僕御用達なのだが最近巷でも有名になっているらしい。 銀行や空港で正規に両替するのに比べて1万円あたり40〜50バーツほど率がいいのだ。 別に闇ではない。 ちゃんとした中国系の旅行代理店が、サイドビジネスでやっている両替商だ。例えば30万両替すれば1200〜1500バーツほど銀行とかと比較して差異が生まれる。ここで両替するだけでソープに行けてしまう。 
ヤワラーのマック(2001年8月20日現在は撤退)の真向かいのビルにROONGSARPと見つけられれば問題ない。 
中に入って左奥の階段を2階に上れば右手奥に両替場がある。そこです。
1000バーツ札を大量に抱えた華僑のおっさんがナットに中国語で話しかけるが彼女は中国語は全く分からない。タイ語に直しておっさんは続ける。 彼女がずっと下を向いてしまっている。どうしたのと尋ねるとどうもカップルに見えたらしく彼女は違うと必死に言い訳したらしい。なるほど。
ヤワラーから一転、73番でプラトゥーナームに向かう。パンティップに行ってみたかったのだ。 ナットは快く案内を買って出てくれた。 想像していた規模よりも大きく感じた。 適当にアドビフォトシステムのパックとMONEY2000の入ったロムを買う。店員は無線機らしきものでロムの品番を伝えしばらく待つことになった。 5分ぐらいしてNHLのジャンパーを着た男が目だけギョロギョロさせてレジまでやってきた。 内ポケットから問題のロムをサッと出すとビニール袋に空のCDケースと共に入れてくれる。
そんなに厳重にしないとまずいのかな?150バーツだった。
このパンティップ、最上階は正規のソフトが売っているフロアがあるのだが客は殆ど入ってない。 値段を見ると12000バーツとか。 日本じゃないよねここ、と思いつつ同じソフトが海賊盤としてこの下で200バーツ未満で売っているのだ。
ワールドトレードセンターに行きSWENSEN’Sでアイスクリームを2人でかっ食らう。
ナットはアイスが大好きな様で、大きなホイップクリーム付のセットを頼んでいた。
ところで彼女は一応厳格な両親に育てられたせいか門限がある。 8時だ。
大学の友人とディスコに行くときは夜1時2時とか、延長が可能らしいが原則としては早く帰ることなのだって。
5歳下の子は僕にとってはきわどい年齢なのでなるべく早く帰らせることにした。

伊勢丹前のバス停で彼女と別れ、一人どこに行こうか考えあぐねる。 時間は7時半。
ルンピニーの獄門ゲストハウスは寝るだけにしたいので戻るのはやめよう。あそこは部屋が臭いのだ。 ナナに行ってみる。 階段を上がった2階の左手前にあるバーに行ってみた。 階段をゆっくり昇ると7,8人ぐらいの女の子が手を引っ張ってこちらでゆっくりしていけというのでその営業に負けビールを頼んだ。 2時間ぐらいいただろうか。ゴーゴーではなく言葉通りただ飲むだけのバーなので、踊っている女の子を見に来る客にしてはここはつまらないだろう。 彼女たちもそれはわかっている様子でここが人気がないことはよく知っている。 入店まもなく一度も連れ出されたことがないという子も何人かいた。
コーヒーショップに行くことにした。
グレースはこの間行ったので、テルメーにした。 実はここはじめて行くのだ。 タイの歩き方なる本やインターネットの風俗サイトでもさんざん紹介されていたので一度どんなところか見てみたかった。 スクンビットをアソク方向へ歩く。 Tシャツや腕時計屋台が少しずつ店を閉めていっている。 商品をダンボールに無造作に詰め、屋台の土台になる鉄筋を外して紐で一本にまとめている。 屋台が終わるとここはフリーの娼婦が建ち並ぶ品定めストリートに変わる。
まあ殆ど商品価値がない女の子かオカマ、或いはそういった系のが好きな人は選ぶ価値があるストリートではある。 
テルメーに入る。中はタバコの煙ですごく、暗くてよく見えなかった。 白人が多く、同胞も数人いる。 タイ女はそれは積極的なのもいれば遠く目で全体を軽く流している女もいる。 グレースに比べれば規模は小さいが人口密度が高く女の子と話せる確率が高いんじゃないかな。
何人かの子と話すが値段で折り合いがつかず結局諦めた。 また来よう。





その6 置屋での失敗談

ルンピニーの朝は臭くて目が覚めた。 まあ150バーツなので文句を言ってはいけない。 荷物をまとめガンダプリー通り沿いのANNA GUEST HOUSE(21-30 ngumduplee Rama4 rd. Bangkok 10120 Tel 286-8830)に移った。ここの女主人アンナさんは化粧がすごくて有名だ。 名前だけ聞くと美人っぽいがおばさんである。なにがすごいって彼女、目の回りを黒く3センチ四方ぐらいで塗っているのだ。 ルーマニアの田舎のおばさんみたいに赤い頭巾で髪を覆っており、顔がそれは怖い。だが、アンナさんの人柄に惹かれてここを定宿とする同胞は意外と多いのだ。150バーツの宿賃を渡して部屋に向かおうとすると同胞である30半ばぐらいの男性が声を掛けてきた。 剣持さんといい、まあ別にすることもなかったので飯を一緒に食いに行くことにした。 彼は名古屋在住のフリーターで金が貯まれば、タイやらマレーシアに売春旅行を繰り返していた。 僕と同じね。砂糖、唐辛子、酢、ピーナッツ、ナンプラー等がたっぷり入ったガウラウを食べる。剣持さんが必要としている短波ラジオをサパーレックで見つける手伝いをするとそのまま別れ、無性にやりたくなった僕はパックディーに行くことにした。ここ入ったことは何回かあるが買うのは初めてである。中国系のガタイのいいおじいちゃんが仏頂面で迎えてくれ、2階のある部屋に通された。 どの部屋も空いているドアからはピンクや赤の原色の蛍光灯がパチパチいいながら洩れており、小学校の校舎を彷彿させるような建物から、娼婦が今この時分でも客を取っているのを思うと不思議な印象にとらえられる。じいちゃんはホックローイイーシップバーツナ?(620バーツ)と言い、僕に確認を求めてきた。 イーシップはコンドーム代だと言う。なんだそりゃ。まあこの間行ったシートンが1時間600バーツだったから妥当な線かと思う。 サムローイダイマイ? ロッニッノーイナカップ?と言うがサムローイマイダーイ…….とさも困った様にいうのでそれで手を打つ。じいちゃんが出た後、数分後にすごい数の女が部屋に入ってきた。おおよそ15人くらいいただろうか。 狭い10畳ほどの部屋は人で一杯になる。 と!一瞬彼女達から放たれる安い香水の匂いが、黄金町のガード下に広がるちょんの間を思い起こさせた。最後に入ってきたじいちゃんがさあ選べといわんばかりに、腕を組んで仁王立ちになっている。 僕は目が悪く女の子の前まで行かないとはっきり顔の特徴が分からないのでしばらく考えたが、とにかく15人にいっせいに見られているのが非常に恥ずかしく、じろじろ見るどころではなかった。 女の子はこっちを見ている子もいれば顔をそらして下を向いている子もいる。4:6の割合と言ったところだろうか。 みな一様にすらっとしており、サイアムスクエア辺り歩いている子と大差はない。 適当に横を向いているショートカットの子を指差すと残りの14人はスッと部屋から出て行った。 じいちゃんに620バーツ渡して退散願う。 今考えればこの“適当に”が非常にまずかったのだが…………彼女は手ぶらで何も持たずに僕の座っているベッドの横に腰掛けた。“あ失敗した!”直感でそう思った。 彼女不細工だった。ホテトルみたいに「チェンジだ!」と言う勇気はさすがになく、仕方なく彼女と1時間過ごすことになる。 ピンという彼女はギブと同じチェンマイ出身だった。 シートンと建物やシステムは殆ど同じだったが、一つだけ違うのは女の子が洗面器具を持ってこないことぐらいだった。 ピンはスタイルこそいいと思う。 小ぶりなおっぱいにキュッと引き締まったウェスト、細いすらっとした足に小さめの顔。 ただ顔がおたふくみたいで、しかも垂れ目、口に締まりがないときている。 性格も悪そうだ。ピンは終始無言だった。さっさとシャワーを浴び素っ裸でベッドに大の字になる。 彼女がシャワーを浴びている間、僕はどんな顔をしていただろう?  ピンがバスタオルを体に添えてベッドに静かに横たわる。部屋を暗くするわけでもなく、いやらしいピンク色の明かりのもと、2人でまぐわう。 今この2人は620バーツという“金”で固く結ばれているんだなあとしみじみ思う。  ピンはそれは白く透き通るような肌をしていたのは決して否定しない。貪る様に彼女の肌に吸い付く。 べチョッ クチュという濡れた音が響き渡る。彼女が上になり僕の乳首を舐め始める。 小さく黒い乳首をすごい吸引力で舐め上げる。だんだんピンの顔が下に下りていきチンコに差し掛かったとき生フェラを始めた。ああ悔しいけど気持ちいい。 玉の皺皺を懸命になぞる様に舐める。さっきの水シャワーで冷え切った玉袋は、彼女の体温を感じる暖かい口の中一杯に暖かさを与えてくれた。  袋の90%を含んでいる彼女の口腔内では舌と歯を使ってクチュクチュと袋のマッサージをし始めた。 うおおお、これはすごくきもちいいいい。ブスだけど白い顔が僕の陰部をぺロチューしているのを見るのは優越感がありすぎる。 病気は大丈夫かな?と一瞬脳裏をよぎったが顔を持ち上げ騎上位で入れてもらうことにした。枕の横にあったKINGTEX製のゴムを丁寧にチンコに装着してくれる。 前立腺にかなりの刺激を与えてくれたピンは僕の顔を見ながらマン皮を右手で広げ、チンコを優しく掴みながらゆっくり彼女の花芯にお邪魔させてもらう。 僕の全部が根元まで入り、彼女と僕どっちの陰毛か区別がつかないぐらい合体させると 「はあっ ンフーン」 とピンは眉間に皺を寄せ、やっぱりウンコ座りファックを始める。彼女のあそこはあまり濡れてない様に思った。 乾いた肉のぶつかり合う音が部屋にこだまする。パン パン パン パン パン パン パン パン パン パン パン パン パン パン リズム感のある音と同時にピンの喘ぎ声も後を追う。んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ んっ5分ほどこの肉音復唱オーケストラが続いただろうか。疲れたらしくピンは僕の隣にグダーと横になる。 チンコが抜けるとき「アン!」と色っぽい声を出したのは聞き逃さなかった。立ちファックをした。 ベッドを降り、堅いひんやりした床でピンを壁に両手をつかせ、後から挑む。 挿入感があまり高くなかった。白い尻を両手で掴みながら腰を振る。だんだんお互いに汗が滲み始める。彼女は今回タイに来て三人目の相手なのだが意外や何と、ピンが一番あそこの締りがよかった。 これで顔がねーと思うのだが天は同時にニ物を与えなかったのね。バックでしばらくやっているとイキそうになる。 しょうがないので僕のお気に入り正常位に持っていく。  彼女の天をつんと向いた乳房を両手で揉みし抱きながらピストン運動を繰り返す。 ピンが下になりつつも、僕の体を四肢で羽交締めした。 こいつ俺が一番喜ぶ術を初対面にして知っていやがる………無理やりキスだーと思いつつ顔を近づけキス。 上と下の口を繋げたまんま、発射10秒前を迎える。 ピンは右手で僕の後髪を掻き毟りながら、左手は夢中で僕の尻をむんずと掴んで離さない。 前表面の密着指数100%になったところで僕は「おおおお あああ いくいくいく」とのたうち、子宮の奥深いところで僕の熱いエネルギーを彼女に託した。イキながらもゆっくりピストンして彼女もそれに合わせマンコを伸縮させる。チンコがだんだん萎えていった。しばらくそのままの状態で5分ほど動かずじまい。 ピンは何事もなかったかのように僕のゴムを根元から抜いてくれ、片結びしてベッド脇にあった銀色の痰壷の中に放り投げた。 お互いの汗で僕のチンコ半径20センチは湿っていた。どうやらピンはイカズじまいだったらしい。ちょっとかわいそうなことをした。誰かに連れられてならともかく、単身で置屋に行く場合女のコがかなり警戒しているのが分かった。 おそらく一人でなんて抜き差しならない奴みたいな印象があるのかな?それとも僕だけ? だれか置屋に行った人教えてください。






その7 売春について考える

下半身の毒液を放出したあと、さっぱりした気持ちでアンナさんのいるゲストハウスに戻った。 ロビーには剣持さんが腰掛けている。 奥ではアンナさんが、ランが植わっている大きな花瓶に理科室のような勢いの水をズドドドドと入れていた。「おう、待っていたよ。今日はどうもありがとうネ。 おかげで何とかパタヤに行ってもどこ行っても日本の情報が手に入るよ。」と剣持さん。短波ラジオで祖国の情報を手に入れるためだったんだって。 「そうですか、よかったですね。今日はどちらに行ってきたんですか?」「いやーパタヤでやった女に性病移されてしまってね。 腫れが引くまであまり外で歩かないようにしているんだ。」 「ゴムつけるのは常識でしょう?」そんな会話しているうちに何人ともとれるような旅行者がゲストハウスの立て付けの悪い玄関ドアを引っ張る。 入ってきた20前後の男を見るなり、剣持さんは思い出した様に声を発していた。 「あれ? あのう 以前シンガポールで会いませんでしたっけ?」 との言葉にその男は「あー! 思い出した! 偶然ですね、ここに泊まっているんですか?」と。 バックパッカーならこういう体験の一度や2度はあるものである。ラマ4世通りに近い中華料理屋で3人で夕飯を囲む。「何にしますか?」「んー、何でもいいんだけどね。 お腹そんなに空いてないし。 でも喉ちょっと乾いたからビールでも貰おうかな。 あとはこの水餃子。 雷太君は?」「えと、 じゃあホイコーロー食べてみよう。 あのう何か頼みます?」「い いや俺そんなにお腹空いてないから。 いいよ」「それにしても久しぶりですね。 バンコクはいつ来たんですか?」剣持さんが男に尋ねる。「昨日です。 いつもアンナさんとこ泊まるんですよ。 居心地いいもんで」「そうね、僕もよく泊まる。この間パタヤから戻ってきたんだけどタイのビザがそろそろ切れそうでね。 カンボジア行こうと思うんですよ」横から口をはさむ。「アー、俺行った事ありますよ。 アランヤから入れば一発ですよ。 ただビザ取りたいのであれば、ポイペトまで出てまたタイに引き返してくればいいんじゃないですか?」「雷太君カンボジア行ったことあるの? すごいね、 なんか俺にしてみれば怖い所っていうイメージがあるんだけど」「いやそんなことないですよ。 皆ガンガン陸路で行ってるし、アンコールワットも近いですよ」「あー、僕も行ったことある。 プノンペンだけだったんだけど。 結構前、国連軍がいたときかな?」男が言う。「ふたりともすごいな」「剣持さんはどうすんの? アランヤまで行く?」「うんそう考えてんだけど、だからアンナさんに頼んで国境までの道程手配してもらおうと思って」「ホアランポーンから鈍行で行った方が安いし楽ですよ。確か朝7時ぐらいのと、昼1時出発のがありましたよ。 値段も50バーツぐらいだったかな?」「そうか列車も悪くないな、考えてみるよ。 あっそうそう頼まなきゃ すいませーん、エクスキューズミー!」中国人の給仕がやってきた。 僕と剣持さんは料理を頼む。 剣持さんの知り合いの男は何も頼まない。「あ、 ところで僕雷太と申します。 宜しくお願いします。」「あー、 うんとどうしようかな じゃあ俺は高田ってことにしといてください。 実は以前ある国でパスポート盗られちゃって 本名は言えないんですよ。」「えー剣持さんと高田さんね。 高田さんこれからどこ行くんですか?」「うーん、風来坊と言うか何というか、はは冗談ですけど。 友達に会いに仕事でアフリカに行きます。 バンコクはそのトランジットなんですよ。」「アフリカ!」僕と剣持さんはハモった。高田と名乗る男は年齢からして僕と同じ24,25ぐらいだろうか。練馬から来たらしい。刈り上げカットに眼鏡をかけている。「俺の友達にナイジェリア人がいるんですけど、そいつの計らいでナイジェリアを中心に日本の中古車を輸出するんですよ。 その現地調査とか決済の仕方について調査しに行くんです」「なんかかっこいいですね。 でも失礼ですけどその…..確かなビジネスなんですか?」「ははは大丈夫ですよ。 そいつ俺が東京の居酒屋で3年働いていたときに知り合ったんですけど、同じバイト仲間でね。 俺が店長やっていたときに奴の友人がそういう仕事についてるって紹介受けたんですよ。 俺にとっても初めての試みだしとりあえずは仕事になるかどうかは現地を視察してからにしようかなって思ったんですよ。 今回初めてアフリカに行くんです。」「アフリカっていうだけでなんかすごいイメージありますね。 アフリカに行くって言うとかっこいいですよ」「でもアフリカだと女買う気にはなれそうもないな」 剣持さんがいう。「女買いにいくんじゃないですよ。 何でそうなるんですか」 笑ってはいるが、高田がちょっとムキになって返す。「雷太君ところで今日はどうだった? 置屋に行ってきたんでしょう? かわいい子いた?」 「うーん実はですね。 パックディーっちゅう置屋に行ってきたんですけど、女がすごいブスでした。 やっぱり値段が安い所は駄目だなーって思いましたよ」「いくら?」「確か620バーツでしたね」「安い(笑) どこどこそれ? 俺ねパタヤのゴーゴーバーは安くていいなって思うんだけど俺の場合ブスでもいいからね、やれればいいっちゅうほうだから」「アハハハハ、 でも僕考え変わりましたよ。 安ければ安いなりのものなんですよ。ケチッている自分がバカバカしくなりました。 本音言えば安くてどのぐらいの女と出来るのかなっていう探求心はあるんですけどね」高田は苦笑いをして、いかにもついていけないという顔をしている。「でも病気かかった時はあせったよね。 こうなんかおしっこするときも尿道っていうの?痛くておしっこできないもんなんだね」「あそうそう、まだ完治してないんですよね?」「まだだよ。 一緒に置屋巡りしたいんだけど 直るまではちょっと絶対安静」「僕思うんですけど、 やっぱりゴムはしたほうがいいですよ。 下手すりゃ死にますからね。 ヘンな病気移されたらたまったもんじゃないでしょう」「そうだね、 反省する」「俺は女買いませんよ。 なんか人道に反するっていうか怖くて立たないような気がして」 高田は売春には抵抗を示している。 そういう奴も確かにいるな、とふと思う。「本当に? 絶対嘘やわ。 男は好きもんなんだから買うもんだよ。 僕よく思うんだけどねタイに来る人。 まあタイだけじゃないんだけどアジア全般ね。 正直に言ったほうがいいですよ。 一人で旅行していたらなおさらだよ」高田が眉をひそめる。「一緒にしないで下さいよ。 俺はちゃんと彼女がいますからそんなに困ってないですよ。 いや僕も売春自体は否定はしないですけど、 いいんじゃないですか、買う人がいて売る人がいる。 昔からある職業ですからね。 でも僕は買いません」高田がムキになって反論する。 否定はしないというニュアンスにちょっと僕に気を使っているなあという印象がある。もし僕も売春反対論者だったら彼は売春に対して甘いセリフは吐かなかっただろう。しばらくして料理が運ばれてきた。 僕が剣持さんにビールを、 彼は高田に注ぐ。

初めて剣持さんに会った今朝、こう聞かれたのを思い出す。「どういうルートで回られるんですか? インドとか?」「いや女買いにきただけです。 別にタイからどこに行くっていうわけじゃないですよ。」「あーそうだよね。 やっぱりそうだよね。 正直になるべきだよね。僕もそうだからね」彼は感激した様にかつ、よくぞ正直に言ってくれたともいわんばかりに喜んでいた。

大学時代の佐々木も今回一緒にタイに来ることになっていたが、 タイに行く目的を「女買いに行くのと、うまくて安いタイ料理食いに行くに決まってんじゃねーか」 という僕の答えにいたく理解を示してくれた。「おれそうやって正直に言ってくれるとすごく嬉しいよ。 よく隠す人いるじゃん。なんだかんだ言って」佐々木はそう言った。

ワハハハ2人ぐらいである、正直に言ったのは(笑)さすがに親や親類には言えない。 親類達から見れば僕は佐々木が言う“よく隠す人っているじゃん”にあたるのである。

売春は必要悪である。 地球上の太古時代から存在した職業だ。 僕は今までにも多くの女性を買ってきた。 だから犯罪者である。 そういう認識もある。正当化するつもりはさらさらない。 ただ一時の快楽を得るために途上国の女性達を貨幣経済に生きる僕らの遊びとして弄ぶのは問題があるだろう。 それで彼女達の生活水準が向上すれば皮肉だが素晴らしいことであるのかな…..?なぜ売春に走るかといえば、答えは単純だ。 彼女がいない間は性欲のはけ口がないのである。 逆にいえば彼女と付き合っているときは女は買わない。買ったこともない。ただ将来自分が結婚したら絶対女を買わないと言いきれる事は難しいかもしれない。 周りにいる既婚者も浮気や愛人を囲む人間が少なからずいることから、僕も自分の性格を把握した上で考えればそういうのも否定は出来ない。 遊びと日常にどこまで線が引けているかが理性を分ける焦点になるだろう。人間であるため社会のルールは守らなければならない。 重婚を防ぐため、性交渉が一般的にならないための政策も宗教や法律、風土慣習を通じて世間に広まっている。

ただ僕は基本的に人間にオスとメスの存在がある限り売春はなくならないと思う。 人間が貨幣経済に生き始めた段階から売春が存在したのは決して偶然ではない。永遠にあり続けるのではないか?売春をしてもなにも生まれないし発展性はない。 タイなどは国民総生産の中に売春産業が組み込まれている。 勿論公的には売春産業とは言わない。 観光業と記されているはずだ。 外国資本が大量にタイへ流入した理由の一つにやはり「女」の存在があると思う。 経済成長を80年代半ばから遂げている理由を考えれば、タイ国民にとっては残念だが彼女達の努力を無視することは出来ないのだ。しかしタイから売春を仮に全て排除するのならば一次・二次・三次産業全ての経済に支障をきたすことも有り得る。 目をつぶらなければならないことは数多くあるのだ。決してタイの男達だけでここまで発展した国ではないと思う。必要悪と裏腹に生きなければ残念ながら現代社会は生き長らえないと思う。タイに限ったことではない。 そういう汚れ役を買って出ているのが女性を買う僕を含めた男性である。 まあそうでなくても汚れているのかもしれないが。買春する男性は裏経済から途上国を支え、 彼らが母国でも正当な社会活動に参加しているのであれば健全な社会をも潤していることになる。 その副産物が性病と望まなくして生まれた子供達だ。

僕は複雑な気持ちになってきた。

高田が続ける。「なにも結果出てこないでしょ、俺なんか誘われたことも友達からあるけどなんか合わないっていうか。人それぞれだし」「うーんそうなのかな。 雷太君なんかよくタイ来るでしょ。 そんな気持ちになるよね?」「僕のきっかけはホテトルだったんですよ。 いきなり部屋に来てね。 居ついちゃって、愛情を感じちゃったんですね。でも愛情が邪魔して後ろ髪引かれる思いもしましたよ。だから一人の女とは長く一緒にいないほうがいいと思ったんですよ。 学習しました」「が、学習(笑)」ホイコーローはまずかった。これで200バーツかと思うとため息が出る。 横で高田が言わんこっちゃないといった様子で僕を見る。 時計を見た僕らは会計して店を出る。 白衣を着た50ぐらいの店のオヤジがアリガトウと片言の日本語をいった。夜遅いので今夜はおとなしく寝ることにした。 2階の剣持さんとは階段で別れ、4階の部屋に寝る僕と高田はしばらく僕の部屋で雑談をした。 彼は部屋に入るなり2階に続く階段の方向を見つめながらこう言う。「久しぶりに彼と会ったんだけどやっぱり変わってないなあ。 何であんなに考えが凝り固まっているんだろう? 考えは一つ!みたいな(笑)」「はあ 昔もああいう話ばっかりだったの?」「そういうことも話していたけど、あんまり関わりたくないの正直いうと。 ほらやっぱり日本人ってあんまり旅先であってもなんかやじゃない?」「いや別にそんなことはないけど。 やなんだ?…….」日本人である僕に向かって言っている。 まあ話している僕に対してはそういう感情はないと思うけど、同胞の悪口ならあまり聞きたくはない。 かつての僕もあまり同胞と会うと恥ずかしいなとか、やだなという感情は持っていた過去はあるが、今はそうではない。 でも態度からして優越感があるといったにおいを漂わせる旅行者はたまにいる。 彼は結構極端な方かもしれない。「はあそうかそういうことか。 まっ色々な人がいるからね。 それもよしだね」僕はそう言ったあと、もう寝ることを彼に伝え彼は部屋を出る。 今の僕を含めた若い人間に多い典型的な性格だなと一人勝手に納得している自分がいた。 他人から見ても僕もそう映るかもしれない。 同じ穴の狢だなと思い、固いベッドに横になる。いつのまにか眠ってしまった。





その8 キャッシュカードを作ろう



目が覚めたのは正午だった。 ソイガンダプリーに面した僕の部屋はバイクや車のエンジン音、WALL‘Sのアイス屋台のラッパみたいな音がガンガンしてうるさい。
寝ぼけ眼でシャワーを浴びる。 
メールのチェックをしてなかったので料金体系のいいカオサンのインターネットカフェに行くことにした。 熱射が容赦なく照りつけるラマ4世通り、タイ人は眉間に皺を寄せて片手で額に庇を作りながら、皆同じ方向を向いてバスが今や遅しと待っている。
黒煙を吐きながら通りすぎる緑色の私営バス、見たことない番号のバスもある。あれはどこに行くんだろう? 若い男の車掌が銀色の筒をチャリチャリいわせながら行き先をタイ語で怒鳴りながらバス停にたむろす人の顔色を伺う。
やっと47番が来た。 40分ぐらいでラチャダムヌンクラン通りに出る。 メルセデスベンツ ヨントラキット社の前でバスを降り車の河を渡る。 道路を渡るのは慣れているとはいえ、怖くないと言ったら嘘になる。 やっぱりドキドキするものだ。 
カオサン通りは白人旅行者でごった返していた。  警察官の数が異様に多い。
UNCTAD(国連貿易開発会議)が2月にバンコクで開かれるそうだ。 アメリカ人旅行者を狙ったテロ組織はカオサン通りをターゲットにするだろうとして、警察の集中取締対象になっているとバン週に載っていた。  大学生を中心とした我らが同胞はまだ大学の後期試験期間中なので、春休みがおおよそ始まる1月下旬から2月上旬にかけて来タイするだろう。
1分1バーツのネット屋に入る。 結構メールが溜まっていた。 50通ほど。AOLのインスタントメッセンジャーで知り合った奴が日本にやってきたらしい。佐世保にいるのでよろしく、か….
佐々木からもあった。 奴はエアインディアでやってくるのか。 ドンムアンに迎えに行かなければならない。 その他もろもろ。 怪しいジャンクメールは削除する。 なんだこのソロモンイギョーって。 ナイジェリアでのビジネス? アホか。 知り合いのフリープロデューサー 谷本さんもバンコクに来るらしい。 分かりました、会いましょう、と返事を書く。
あの人はスクンビットのクイーンズパークかノボテルロータスなどに泊まるのでうまくいけばまともなホテルに僕もタダで泊まれるかもしれない。
近くにイスラム料理屋台を出す所があったのでそこで朝兼昼にする。 カオモックガイと水を頼む。 これなかなかバンコクではお目にかかれない。 ハジャイとかスンガイなど南部に行かないとありつけないのだ。 甘いたれに付けて食べる鶏肉がおいしい。 
腹が膨れた後、シーロムのバンコク銀行本店に行きキャッシュカードを作る。 プレミアカード(海外の提携先金融機関はオーストラリアANZ Bank, State Bank Of South Australia、バハマRoyal Bank Of Canada、バーレーンBritish Bank Of The Middle East、バルバドスRoyal Bank Of Canada、バミューダBank Of Bermuda、ブルネイHongkong And Shanghai Bank、カナダRoyal Bank Of Canada, Bank Of Nova Scotia, Toronto Dominion Bank、中国Hongkong And Shanghai Bank、コロンビアBanco Popular、チェコスロバキアCeska Sporitelna Statni、エクアドルBank Of Guayaquil、グアムBank Of Hawaii, First Hawaian Bank、ギリシャCommercial Bank Of Greece、香港Hongkong And Shanghai Bank、インドネシアHongkong And Shanghai Bank、イスラエルBank Of Hapoalim、イタリアBanca Nazionale De Lavoro、日本 JCB, Sumitomo Credit Service、澳門Hongkong And Shanghai Bank、マレーシアHongkong And Shanghai Bank、メキシコBanamex, Prosa Carnet、オマーンBritish Bank Of The Middle East、フィリピンHongkong And Shanghai Bank、プエルトリコBanco Popular、カタールBritish Bank Of The Middle East、サウジアラビアSaudi British Bank、シンガポールDBS Bank, Overseas Chinese Banking Corporation、スペインCaja Madrid La Caixa, Sistema 4B、スリランカHongkong And Shanghai Bank、トルコYape Ve Kredi Bankasi、アラブ首長国連邦British Bank Of The Middle East、イギリスLloyds Bank, Midland Bank, National Westminster、アメリカBank Of America, Bank Of Boston, Bank Of NewYork, Chase Manhattan Bank, Chemical Bank, Citi Bank, Mellon Bank, Philadelphia National Bank、ヴァージン諸島Banco Popular De Puerto Rico)を既に持っているのだが僕が日本人なのを考慮した行員が世界中で引き出せるキャッシュカードを作ってくれたのだが、年間維持費が200バーツするので普通のカードに作り代えてもらおうと思ったのだ。 昔、新宿の住友銀行(現在は三井住友銀行)地下にあるATMでこのプレミアカードで引き出してみたが出来なかった。  以前のプレミアは破棄した。
2万バーツとパスポートを美人の行員に渡してしばらく手続きしてもらう。
新規の書類にタイ国内の住所を書く欄があり、アンナの住所が分からないため一度戻り、アンナさんからゲストハウスの名刺を貰わなければならない。面倒臭い。
宿に戻り事情を話すとアンナさんは名刺をくれた。 その足で銀行にダッシュする。
さっきの美人行員は別の客と接客中だったのが悔しかった。あのコに作ってもらいたかった。 それでも別の行員は丁寧に手続きをしてくれた。 ブアルアンと読むのだろうか?普通のキャッシュカードがやっと手に入った。 これがあるとタイにいる間はすごく便利だ。 大金を持つ必要はないし夜中でもキャッシュディスペンサーで金が下ろせる。手数料は無料。 こういう普通預金でも口座を開設しておけば将来タイに住む予定のある人は、銀行に対する信用になるんじゃないのかな? ならんか。





その9 場末風呂屋 クリスティーナ

時間を見ると3時半。 マッサージパーラーに行ってみよう。
ペッブリー通りは大小合わせて十数軒の風呂屋がある。 まずはリーズナブルな料金で試してみましょう。
冷房の93番でペッブリーを目指す。 アソクの高架橋から日本大使館と協力事業団ビルが見えた。 サイアムホテルを越えた辺りでバスを降りてみる。 実際歩いてみた方が地理感が掴めるというものだ。 ニューヨークとおぼしき建物がある。 ここはつぶれたのか? 無視し真っ直ぐパタナカン方面に歩く。 右手にタイ語で何やら書かれたビルがある。 ガラスのドアは赤いカーテンで仕切られていて中の様子はわからない。 こういう怪しいのは個人的に大好きである。ドアをゆっくり押すと開いた。 やってるんだなと思い入ると案の定風呂屋だった。 左手に雛壇があり右側はテーブルやイスの並んだこれはレストランか? 人は殆どはいっていない。 タイ人らしきオヤジがビールかなんか飲んでいる。 30ぐらいのコンシーアがやってきた。 ヘラヘラ笑っている。
「ティニー タオライカ?」
「チュモーンクン ガウローイカップ  ミープーイン スーアイマーク ユアユエ」
「ティニー チューアライ?」
「サイフォン」
サイフォン?聞いたことあるな。 場末ソープとして有名だ。 ポケットからメモを取り出しアッと思った。 一時間半で600バーツが正規の料金らしい。こいつ今900とかいったなあ。
「タマダー ホックローイチャイマイ? タマイ ラーカーマイムアンカン? クーイマーティニー ワンティー シップソーン」
こないだ来たときは600だったよ。なんで値段違うの? と、かましてみる。奴はあれそうだっけ? みたいにとぼけている。 相手にするのはやめよう、体力の無駄だ。

しばらく歩くとリビエラと書いてある建物があった。 ここは海外風俗情報のサイトで見たことがある。ここなのかあと思い入ってみる。 砂利混じりの駐車場を越え中に入ると雛壇が見えてきた。 女のコがかなりいる。 かわいいのもいるがそうでないのもいますね。 値段も聞いたがもう忘れてしまった。 1500前後だと思う。 この間の置屋でまだ懲りないのか安くてかわいい子とセックスするのを夢見ている僕であった。 
リビエラ近辺に確か安い風呂屋があった。 ウェディングドレスを扱っている店の近くだがはっきりとは覚えていない。 クリスティーナ(CHRISTINA MASSAGE HOUSE 2115/10-13Petburi rd Bangkok Tel 3143590 3143599)に入ってみた。 ここは650で一時間半らしい。 40ぐらいの宇宙飛行士の毛利さんに似たコンシーアがやってきた。いくらか聞くとやっぱり650だって。 素直が一番だね。 ここで放出しよう。
女の子を捜す。 あまりガラス近くに行くのも抵抗あるし目を細めながらジックリ見てみた。 「シーシュンプー ボリカーンディーナ」 というのでピンクの彼女を見ると….表情がはっきり見えない。本当にサービスいいのか?と思いつつマッサージパーラー初体験なので、じゃあ奴のいうとおりにしてみよう。
毛利さんが手を上げて女の子に合図をするとピンクの彼女がポシェットを持って左側から出て来た。僕は金を払い彼女と仲良く2階への階段を上がっていく。
2階ではおばちゃん達数人が、グワングワンとすごい音を鳴らしたボイラー室から取り出した真っ白のバスタオルやバスマットを綺麗に折りたたんでいた。 漂白剤のにおいがプーンとする。 彼女はそのボイラー室手前の棚からボディーシャンプーや歯磨きが詰まった桶を持ち上げ僕を部屋へと誘導する。
部屋に入り彼女は湯を張り出す。 給仕女が入ってきて飲み物の注文を取りに来た。僕はオレンジ、彼女は紅茶と水を頼んだ。バシャバシャ音を立てて彼女は僕の座っているソファーにやってきて「チュウアライカー?」と言ってきた。 
!!! あー ヤベー、おばさんだよこりゃ!
はっきりと見た彼女はどう見ても30は過ぎている。 ブスとかそういうんじゃなくておばさんだよ。 参ったな。 チェンジだ!と言える勇気が欲しい(笑) まあいいや毛利さんが言ったサービスに期待してみよう。 やはり安ければ安いだけの理由があるんだなとしみじみ思った。 
オンという彼女はスリン出身で結婚歴がある女性だ。湯が溜まる間会話を少し楽しむ。
「僕は東京から来ました 先週の14日ね」
「どのぐらいいるの? お仕事?それとも観光で?」
「観光だよ。 バンコクとかアユタヤとかいろいろ回ろうと思って。 オンはここで働いてどのぐらいになるの?」
「んー 3年ぐらい。 あたしは店では長いほうよ」
「3年!? すごいね!」
「(笑)でしょう? いろんな人を見てきたわよ。 日本人もここは多いしね。 よくこういう所来るの?」
「今日が初めてなんだよ実は。何していいかわからないんだよね」
「何もしなくていいのよ、別に 今どこに泊まってるの?」
「ルンピニーだよ」
「じゃあタクシーで来たの?」
「いやバス」
「本当に? すごいわね。 ところでさっき下でいくら払ったの?」
「いくらって650でしょここ?」
「あー、 たまに高く取られている人もいるわよ。 あなたはよかったわね ときどき1000とか1500取られる人もいるみたい」
「へえそうなんだ、 ね もしよければ年を聞いてもいい?」
本当は女性に年齢を聞くのはナンセンスなのだが彼女の場合、僕とセックスをするという利害関係があったため、どうしても知りたかった。
「聞きたい? いくつに見える?」
「うーん、28かな?」 背一杯のお世辞である。
「残念もっと上よ。」
「(だろうな…) えーとね……..じゃあ35かな」 考えたフリをする。
「あ 近い 36ね」
おーいすごいぞ…….. 36とやるかあ?セックスのベテランじゃあないか。毛利さんが言ってたのはこのことか? まあいい。  
飲み物が運ばれてきた。 70バーツ渡す。 喉が乾いていたのでオレンジをすごい吸引力で飲む。あっという間になくなった。 彼女が水の中にスポンサーという栄養ドリンクを溶いて飲んでいる。 そんな飲み方でうまいのかな? と一口飲ませてもらう。 薄くてスポンサーを飲んでる気がしない。
湯が溜まりオンが服を脱ぐようにいう。 僕は初対面の女の子には惜しげもなくチンコを見せられるが、付き合って長い人は例えば彼女とかにはやはり恥ずかしいものがある。 「初めてにしては堂々としてるじゃない」 オンが素っ裸の僕にいう。 なんか残念そうに聞こえた。 あ、やべ。 もうちょっと恥じらいを持つんだった。
オンも裸になりお互い生まれたままの姿でぬるい湯船につかる。
湯船は極めて浅く底面積は広い。 風呂に入るというよりは寝そべるという感じだ。
オンは慣れた手つきで僕の右足を風呂の手すりに乗せボディーシャンプーで手洗いしていく。 あー気持ちいい。 
「あー サバイ サバーイ オン、僕も洗ってあげようか?」
彼女はびっくりしてしていた。 笑いながら「いいわよ、あなたは優しいのね」とかわす。
チンコをさわさわして石鹸でチンコと陰毛の回りをゴシゴシ洗う。 何か王様になった気分だ。 こんな36にもなる女の子とはいいません、女性に体を洗ってもらってマッサージを受けるのは不思議な気持ちだった。 日本円に直せば1600円ちょっと。 信じられん。 老人介護ってこんな感じなんだろうなと日本の高齢化現象の将来を案じる。
風呂の栓をオンが抜き、泡だらけの湯がゴボゴボいって流れていく。シャワーで改めて僕の全身を流してくれる。 さっぱりした。 
彼女とは話しのタネが切れた。 終始無言になる。 それでも笑顔で体の隅々まで手を使って洗ってくれる。 僕は突然彼女に抱きついて肩にキスをした。
「オーン、 早くベッドに行こう!我慢できない!」
「うーん もうちょっと待ってね だめ?」
「もう体洗ったでしょ?」
「今度は背中ね」
!そうか背中があった。 でもいいのに。彼女はひんやりした液状のボディーシャンプーを両手を使って背中全体に引き伸ばしていく。 誰かに背中洗ってもらうの何年ぶりだろう? あ そうでもないや、ステファに昔洗ってもらったことあったっけ。
ようやく全てが終わると再度、湯船に寝る様にいう。
オンはゆっくりと情熱的なフェラを始めた。 息子はガンガンに固くなっている。涙も流し始めた。 風呂場でというのが妙に興奮させる。
チュパッ ニチュッ ブピュッ ハンム ブッ チュパッ ピュッ いやらしい音が10畳ほどの部屋に聞こえる。 ドアの真向かいにあるボイラー室にたむろしているおばちゃん達に聞こえないかなと思うぐらい音が大きく聞こえる。 今、俺達はセックスするんだということをおばちゃん達はもちろんわかってるよね? どんな気分で彼女達は職務を遂行しているんだろう? そんな関係ないことを考えてないとイッちゃいそうで怖い。
「ねー 気持ちいい?」 目をつぶっていたオンがこっちを見てほっぺたを膨らませながら言った。
「うん 気持ちいいよ うう うまいね オン」 声が裏返る。
「フフ」
すごいディープスロートだ。 たいして大きくもない僕のチンコがオンの口の中一杯に含まれている。 チンコの先っぽはオンの喉奥の壁を感じる。 彼女の官能的な厚い唇が僕の陰茎を包んでいる。 ああ体温を感じる。  その内彼女の顔が見えなくなった。 彼女の口は僕のケツの穴を舐めている。 舌を使って菊門をビチョビチョビチョビチョ。
ああああ、 なんか変な気持ち、 気持ちいいなあ。 これ以上オンには隠すものがないような感じだ。 尻穴舐められたら他に隠すもんないでしょう?
オンはしばらく舐め技を続けた後ベッドに行こうと提案する。 バスタオルで体を拭くと彼女は口の中の唾液をガーペッと排水口に向かって吐いていた。  ……。
彼女の濡れた体も僕が拭いてやる。 普通はこんな事しないのだが、こうすればサービス良くなるかな?という僕なりの考えでした。
「コップンカー」とオン。
クリスティーナのベッドはビニール製のソファーに白く薄いベッドカバーを被せただけの簡易ベッドだ。 2人で寝るには小さすぎる。 この作りが後に記述するが泣かせるのである。 
オンは電気を消す。  
「電気つけようよ。 マイペンライだよ」
「恥ずかしい。 お願い 消しましょうね?」
「カップ….」
オンは髪を後で束ねていたのだがゴムを外して髪を垂らしてくれと頼む。 ピストンしながら髪の感触を味わいたかったからだ。 僕のおなかの辺りに馬乗りになりながらオンは髪をまとめているゴムを外す。 髪が落ちた瞬間シャンプーのいい匂いがフワッとした。 チンコがピクンと脈打つ。
彼女はいきなりディープキスをしてきた。 これには僕もびっくりした。 自分からしてくるのはなかなかなかったからだ。僕は下になりながら舌を使ってオンの唇、歯、舌を絡める。 お尻を両手で触る。 マンコも触る。 フンッと彼女が息をつく。 あそこは濡れていた。 彼女は僕のマンコを触っている右手を振り払い乳首をチュウチュウ吸い出した。 ここ数日間タイ女の体に触り慣れてきたせいか、 皆同じさわり心地だなあと思った。 新鮮味がない。 日本の女は肌が柔らかくプニプニしている。 さわり心地はいい。
アメリカの女は白人に関して言えば日本人以上に柔らかい。 おまけに肌が石鹸の様に白く清潔感がある。
タイはどうなんだろう。 どう形容したらいいのか。 肌のきめ細かさは前者に比べれば劣るかもしれないが、新陳代謝が激しいせいか皮下脂肪が少なく、肌がキュッと締まっている。
そんなことを思っているとオンがゴムを出してあれれ?と思っている間もなく、それに被せてしまった。 ゴムのヒンヤリする感触を覚えながら彼女のマンコがゆっくり侵入してきた。 根元まで全部入ったチンコは何かに包まれたようだ。
「ウフー ハアアアア」オンは感じてる様だ。 150センチに満たない彼女が強く腰を動かし始めた。どこにそんな力があるの?と思うぐらいすごい円運動である。 取り出されたゴムのひんやりした感触から一転、彼女の膣内の体温が伝わり始める。アア締め付けがすごい。 本当に36か? すごいマンコしてるな。
「あー気持ちいいね、 オンのオマンコすんごい締まりがいいよ、 キュッキュッてな感じ」 日本語でオンに言ってみた。勿論彼女は分からない。
「アー アライナー? マイカオチャーイ……. ハアアア」
僕が起き上がって座位になる。 オンは両足を僕の背中に回し、全体重を僕の陰部にかける。クチュクチュ濡れた肉の音がしている。 「すごい一杯入っているね。オン何でそんなに強く動けるの?」 「マイルー プータイナー?」 わからないタイ語喋れと言ってる(笑)
やってる時ってタイの女はすごく燃えるなあ。 ディープキスを再開、やってる最中はお互い何も喋れない。 口を離すとオンは「ンハッ ハッ アー」 と喘ぐ。彼女の体が温かく全身で愛してくれてるなあと実感する。 でもこれが彼女の仕事なんですよね?
彼女の動きが激しくベッド上に引いてある白のベッドクロスがだんだんずれてきた。 しまいには下の青いビニール地が顔を覗かせる始末。 一旦クロスを引きなおそうと思いチンコを外しオンが丁寧にソファーを動かして奥まで引っ張って綺麗に仕切りなおす。
彼女は騎上位が好きなようで僕が上になるチャンスがない。 寝ている僕から見ると左は壁でヌードポスターが掛かっている。彼女が上で盛り上がっているとまたクロスがずれてきて、しまいには全部取れてベッドの下に落ちてしまった。 僕らはそんなことはもうお構いなし。 オンは爆発寸前らしく右足をポスターの掛かっている壁に力を入れて左足はひんやりした青いビニール地に支点をおいてジューシープッシーをこれでもかというくらい押し付けてくる。 壁もビニール地もクロスとは違って滑らないので彼女は奥深く感じていることだろう。 僕から見るとオンはすんごい格好で頑張っている(笑) まるで僕が犯されてるみたい。
「セーム フィニッシュナ? ダイマイ?」
オンは一緒にいこうといってる。全身から汗が、ぶあっと吹き出す。
「OK ダイダイ」
思わずいきそうになった。 「アーーー アーーハア アッ!!! アッアハー」オンはいった様だ。 僕はその少しあとにいった。 彼女はイッてる時の僕の顔を見てニヤニヤ笑いながら「きもちよかったー そうでしょう?」と笑顔で尋ねる。 すんごい爽やかな顔で聞いてくるね。 まるでオンに精気を全て吸い取られた様だ。 このセリフをタイ語ですごく言いたかったのだが分からなかった。

クリスティーナをあとにする。 辺りは暗くなっていた。 玄関にはバイタク連中が固まって何やら一品料理を食っている。 でてきた僕をどんな思いで見ていただろう。 今僕はあなたの国の女性と一発いたしました!
置屋やゴーゴーと違い風呂屋はサービスが料金に含まれているので満足感は高いだろう。 ただどの風俗も長所短所はあるのでソープが一番という結論は出せない。
ペッブリーはまだ未開拓の土地なのでいろんな風呂屋に行ってみようっと。





その10  エンガラ列伝(前編)

明けた次の日、アンナさんの所の数軒隣にあるWIN IN LOVE GUEST HOUSE (21-8 Soi ngamduplee Rama 4rd, Bangkok 10120 Tel 2871435) に泊まってみることにした。 まあ場所が近いので荷物の移動は楽である。 案の定部屋はあった。 150バーツで扇風機しかついていない。  このゲストハウス、チェックインしたあとで気付いたのだがゲイが経営しており、宿泊客もホモっけたっぷりの中性子である。 ぼくの泊まった2階の部屋の前はいつもタイのホモ達が博打に乗じており、一緒にやりませんこと?と誘われたもんである。 一度僕が洗面所で汚れた服を洗っているときにピチピチのビニール製の黒のシャツ着てスパッツみたいなもの履いた20前後のホモが、トイレでチンチン舐めてあげるからと言って手を引っ張って大の部屋に引きずり込まれそうになったことがある。 そいつの顔が大学時代の金子にそっくりだったので一瞬「金子じゃん? おまえ何やってんのこんな所で?」といったことがある。冗談じゃなくて。
金子は「ホワット? アイ ドンノー!ユーカムウィズミー ヒア!」
と言うので大爆笑してしまった。 まあノンケだとはっきり言えば、奴らも茶目っ気たっぷりなので問題はないが、白人男同士のポルノビデオを見ようといわれたときは倒れそうになった。 2丁目でそういうのをかつて見たことはあったが、興奮するものではない。
とりあえずすることと言えば、以前女の子達に打ったポケベルである。ナットやチェルシーとは連絡は取れたが、問題は残りのアサンプションのノックと初日にお相手したオーイである。 チェルシーはちょっとパスするとして残りの3人にまたベルを入れてみる。
少しするとナットから電話がきた。
「雷太さん? ハーイ こんにちは!」
「オッス 元気? 暇だからベル鳴らしてみたよ。 今学校にいるの?」
「そうよ、友達と宿題を解いてるところ。 雷太さんに言いたいことがあるのよ。」
「何?」
「プラーニーに電話してももう既にチェックアウトしたっていうじゃない。 もし別のホテルに移ったら電話番号を教えてよね? 連絡したかったのに出来なかったわ」
「あっそうか ごめん。 さっきこのゲストハウスの番号ベル入れたからもう分かるよね? でも明日ひょっとするとスクンビットのホテルに移るかもしれないんだ。 そしたらまたベル打つよ。」
「私は雷太さんの連絡先っていったらそこのゲストハウスしか知らないのよ。 あとは何もわからない」 遠まわしにそれ以外の連絡先を教えてくれというように聞こえた。ので…..
「わかった。今からインターネットカフェに行くからナットのメールアドレスに僕のメールアドレスと日本の住所と電話番号も入れておくよ。 君も教えて」
「うん! わかった!」 嬉しそうだ。
「ナット今度アイススケートどう? 涼しいからきっと気持ちいいよ」
「私やったことない。 でも………いいわ どこの?」
「ワールドトレードセンターの5階か6階にリンクがあるんだよ。 いつにする?」
「あーあそこね わかった。 じゃあ今週の金曜日。学校が2時で終わるから学校の近くで待ち合わせましょう」
「タマサートだろう、 どこがいいかな」
「国立博物館分かる? そこの入り口だったら、キャンパスから近いわ」
「OK! じゃあ2時ね 博物館の入り口ね。 あ!ところでさ、博物館ってタイ語で何ていうの?」 もし道に迷って人に尋ねるとき、ナショナルミュージアムという英語はなかなか通じないだろうと直感で思ったからだ。
「ピピッタパンよ」
「え? も一回」
「ピピッタパン わかった?」
「わかった ありがとう。 じゃあ金曜日待ってるね シーユー」

電話を切るとあとは誰からも掛かってこなかった。 オーイはもう僕のこと忘れた?
まあいいや。
カオサンのネット屋に行くとプロデューサーの谷本氏からメールが来ており、明日ジャカルタからバンコクに到着するらしい。 スクンビットのフォーウィングスに予約を入れたらしく、 一緒に泊まりましょう、との事。 一応今いるホモゲの電話番号を返信する。
佐々木からもメッセージがあり明後日夕方5時に着くので空港で待っていて欲しい、との事。 まるでアテンドする駐在員みたいだ。

今日も風呂屋巡りをしてみよう。 なるべくなら運命的な風呂屋との出会いをしてみたいものだ。 客引きの運ちゃんに捕まってアタミとかモナリザに行くんじゃなくて、こう運命的な出会い(笑) 希望は実はのちに現実的なものとなる。
とりあえず火のないところに煙は立たないということでペッブリーにいってみた。 途中おなかが空いたので屋台でプラームックパットンホーンとバイカパオムーを注文。
バスでソイナナヌアとペッブリーの交差点で降り、そこから東へ向かって歩く。 時間にして昼3時すぎ。 ちょうど一年前バンコクに来た時に一晩一緒にいたナナの女の子がいて、彼女のアパートに行った事がある。 アパートに入る路地横にシャープのローカル販社があったのだが、 今自分が歩いているのがそこの真ん前だ。 奴はまだいるかな? ノンカイにそれとも帰ったか? 無視して通りすぎる。しばらくしてモナリザが左にある。 ああ運ちゃんがよく念仏みたいに唱えてるのはここのことだったのか! それにしても大きな建物だ。 知らない人は大通りに面して駐車場まで備えたこの得体の知れない建造物がソープランドだとは気付くまい。 左をちらちら見ながら歩くと何やら怪しい建物を見つける。 こういう臭いものを発見する感覚だけは発達しているのだ。
左の道へ折れると横にエンバシーと書かれた風呂屋?カラオケ屋?がある。右手には日本のAV女優の写真が大きく引き伸ばされて建物の側面に貼られている。すごいセンスしてるな。
奥へ進むと小さな入り口にチンピラ風タイ人が7,8人たむろしている。 ソープ嬢のヒモか? それとも冷やかし客か?
中に入ると真っ暗、彼方むこうに大きな金魚蜂が見える。 ゆっくり進むと40ぐらいだろうか白髪混じりの紳士風のコンシーアがやってくる。 背広がやけに似合っている。ソープのこましアドバイザーには見えない。 ここは熟年の白人客もいるようだ。
雛壇には20人ほど女のコがいた。 可でも不可でもなく甲乙つけがたい。 彼女達との距離は3メートルほど、案外近かった。 そのお陰で顔はよく見えた。
コンシアは一時間半で1200という。 うーんぼられてるような気が。 女と値段が合わないのだ。 これで1200取るか?という感じ。 
10分ほど品定めしていただろうか、クリスティーナでコンシアの薦める女が芳しくなかったもんで、自分で決めることにする。
決めた。 直感だ。 部屋に入っても美人でいて欲しい、そう願う。
彼女は僕に関心を示さないようなフリをしていた。 目は合わせないのだが極たまーにこっちを見る。 その時の彼女がまるで上目遣いにゆっくりこちらを見るや、そっぽを向いてしまうのであった。
この10分間の彼女の一連の動作で大まかな性格を読み取った。 スタイルも良さそう。 165はあるだろうか、まわりのコと比べると一回り大きい。 グラマーというのが一番いい表現だ。
他のコは私を選んで! といった感じで笑顔で僕をじっと見つめる。 前にいるデカイ白人の影にわざと隠れて他のスーパーの女を見るフリしても、そういった女は僕の顔を目で追っかける。
コンシアが決まったか?みたいに言うので目当ての子を伝える。 アクリルの番号札が読めないので彼女を指名するのは苦労した。 
「いーい? 右から1、2、3、4、5、6、7人目! あのコ!」
コンシアは待て待てもう一回という。 僕は「OK, ヌーン ソーン サーム…..」と右手で女のコを指しながら右から7番目のあのコと伝える。 指でさすたびにガラスの向こうの女のコ達も頭を振って音頭をとっている。 あーあたしじゃないのね?みたいな会話をしてるんだろうか。 今更なんだがマジックミラーと言うのは嘘である。 7番目といったときコンシーアも笑って分かってくれてあいつだな?ということでマイクで呼び出してもらう。 選ばれた当の本人は「フフッ」と笑みを浮かべて立ちあがった。
キャッシャーで1200バーツを払い彼女が出てくるのを待つ。 やっぱりタイ人にしては背が高い。 彼女は僕にワイをして手をつないできた。 2階へと2人で階段を上がる。
彼女は何も喋らないが、音もなく歩く静かな雰囲気がすごく印象的だった。

部屋に入り、おたがい自己紹介が始まる。
「こんにちは はじめまして」
「こんにちは ソンです」
「雷太です。 ソンはどこ出身?」
「ナコーンシータマラートよ。 知ってる?」
「うん 聞いたことあるよ」
「こういう所は初めて?」
「うん すごくどきどきしてる」 ついてもいい嘘をついた。
「ホントニー?」 ソンが上目遣いに僕の目を覗きこむ。
ソンはそれは白いシルクのネグリジェらしきものを身にまといながら、 体の方はセクシーダイナマイトだった。 胸もふくよかだし大きな瞳、厚くピンク色のリップが塗られた唇、肩付近まで掛かった長い髪、南国特有の褐色の肌、控えめな鼻、背が高くて、立ったままでも目線がおおよそ同じである。 ドラマ“ミーア ルアン”に出てくる本妻に似ている。 彼女がタレントや女優になっても違和感は全然ない。
女給仕がきて、アイスティーとソンはスプライトを頼む。
「仕事できてるの? それとも観光?」
「観光だよ」
「こういうとこ 遊びに来てるんじゃないの」 疑いの目は相変わらず変わらない。
「そんなことないよー」と言いながら 彼女に抱きつく。 「ニャーン」と笑いながらベッドに自ら寝転んでいく。 ノックがしてドリンクが運ばれる。
彼女は僕を無視して湯を張り始めた。 後姿に急にムラムラし抱きつく。 シルクの肌触りと共に彼女の体温が伝わる。 あたたかい、いーなー。 「座ってなさいね」と姉さん口調で言われ渋々ベッドに戻る。こういう女のコは好きである。
ちょっと笑わせてみようと思った。
わざとソファーのはじっこに座り 「こういう所は初めてだから怖いよソン……」
彼女は振り返って「マイペンラーイ!」と甲高い声で返す。 「でも突然怖い人が出てきて金巻き上げられたりしたらどうしよう」
「大丈夫よ 心配しないでね 私がいるから」
湯加減を確かめながら笑って答える。
僕はおおよそ10秒ぐらいだったろうか、全ての衣服を脱いで素っ裸でソファーの片隅にやはり居場所がないかのような状態で座った。 湯が完了してパッと彼女がこちらを振り返った途端、裸の僕が申し訳なさそうに下向いて座っているものだからびっくり。
「ぶっ(笑)」とソンは吹き出したあと「タマラーイ!」何やってんのーと笑っている。
「サイ スア ティーニー チャイマイ?」だって服脱ぐんでしょーと演技してみる。
「そうだけど…..本当に初めてなの?」あきれたようにいう。
2人で泡風呂にはいる。 体を隅々まで洗ってくれる。 ソンは長い髪を後ろで束ねているのだが、顔の輪郭がはっきり見えていい、うなじがすごく官能的だ。
「いつ日本に帰るの?」
「うんと、 来月の11日かな 結構長くいるよ」
「そうなんだ いつもどこらへんで遊んでいるの?」
「ナナだろー パッポンだろー 色々だよ ゴーゴーバーに行くんだ」
「ナナってどこにあるの? 私どこかわからない」
実はナナと今僕らがいるペッブリーの風呂屋は大して遠くはない。 タクシーで10分かからないと思う。
「すごく近いよ。 楽しいよ、今度一緒に行ってみる?」 ソープ嬢とゴーゴーに行く奴もなかなかいないと思う。
ソンが僕の胸を丁寧に指でなぞりながら洗う。奴はおっぱいを見られるのが恥ずかしいらしく、いつも僕から見て死角になるよう前かがみで僕の体を洗う。
ここの所毎日違う女とセックスしているのでチンコが簡単には反応しない。 湯船に浸かっている僕はチンコがまるで撃たれた兵士の様にぐたっとなっているのが分かった。
息を吹き返して立ちあがってくれ!
ソンは幾つかと聞いてきた 「幾つだと思う?」
至近距離にいたソンは、洗っていた手を休め僕と距離を取って細めでじーっと見つめる。「28! でしょう?」
「ブブー 俺そんなに年取って見えるかな?」
「えー じゃあ 25!」
「もっと下だよ」 指で下を指す。
「23?」
「残念でした。 19です」
「マイシュアー!」 笑いながらそんな筈はないと否定する。 やっぱ19は厳しいんだね。24と答えるとソンはハアーと納得していた。 彼女の年齢を当てることにした。
「22かな?」
「ううん」
「え? 上なの?」
「チャイ」
僕より年上もありうるな 「26?」 違うという。 見当がつかないので教えてもらった。
「28よ」 そうなの? やっぱりお姉さんだった。





その11  エンガラ列伝(後編)

ソンの興味の的が僕の一物に集中した。 おなかを洗っていた細い手が息子を丹念に洗う。 皮をゆっくりゆっくり 親指のはらで撫でる様に洗ったあと湯で流してくれた。
綺麗になった息子を彼女は手を使いながらまじまじと見つめる。
「病気持ってるんじゃないの? 何かあるはずよ みたいに思ってるんだろ!」
彼女は笑って「ちがーう、 違うもん」
「じーっと見て そうだろう 正直にいえ」
「ノー ただ見ただけよ どうなのかなあって」
「ほんとか? でも顔に書いてあるよ 病気持ってるんじゃないかしらって ほらこの額のとこに!」 彼女の額に指で軌跡を追って「キエン ナー」とからかう。
ソンはバツが悪そうに笑ってごまかす。 あーこいつ仕草がかわいいな、と思った。
湯船から出て 彼女は側にかけてあった空気マットを床に倒した。 そうかここはマットプレーがあるんだな。 マットは初めてだ。 なんかタイは十数回来てるのに初めてなことばっかりだ。 
「はい ここにうつ伏せになってね!」
はーい。 言われたままにそこに寝る。 マットの感触が気持ちいい。 ソンはボディーシャンプーをべったり背中に塗りたくっている。 と同時に背中におぶさってきた。 ソンはグリグリ体を押し付けてくる。 シャンプーが潤滑油になって何ともいえない気分に浸る。
しばらくしてベッドに向かった。 ソンは明かりを消さないと恥ずかしいという。 ちょっと暗くして、2人で舐め合いっこが始まる。 さっきまで拭いていた湿ったバスタオルを体に巻きつけ、僕の体をぺろぺろ舐める。 
「ソン キスね」というと ンーといいながら彼女は長い舌を絡めてきた。 僕の上唇を舐め上げ思いっきり口の中で息を吹き込む。 と思ったら今度は急に吸い出す。 気圧が変わった様に耳がつーんとする。 鼻からも空気が漏れてきた。 それを見てソンはクスクス笑う。 マイダイいって叱る。 その内チンコを愛しく触りフェラチオが始まった。
くちゅ くちゅ くちゅ ちゅぱ ソンはいやらしい音を立てて、 おいしそうに夢中でしゃぶっている。  奴は口の中をモゴモゴさせ、中から抜けた僕の陰毛を指でつまんで捨てた。 そして清楚な顔が尻に向かう。 ケツの穴まで丹念にレロレロレロといった感じ。
あーこいつかわいいからな、 毎日違う男ととっかえひっかえやってんだろうな、としみじみ思う。 あやばい恋愛モードに入るとまずい。 敵国の女に恋したスパイになった気分だった。 なんだそりゃ(笑) 正気に戻らなければ。
用意してあったゴムを取出すとすばやくチンコに装着する。
彼女のマンコは少な目の毛で覆われている。 ちょっと黒ずんだ皮を剥いて膣の中を見てみることにした。 ソンは抵抗はしないが手で隠して恥ずかしがっている。 外と反してやっぱり中はピンク色だ。 濡れているのがよく分かる。
舌をバギナにすごく入れてみたかったが、神様が出てやめた。 淡白な人ならセックスしててもそうは思わないかもしれないが、剣持さんみたいに押さえがきかないと不特定多数の女とやらない方がいいかもしれない。
股の付け根をしゃぶる、ソンが僕の顔を両手で持ち上げ 「はやく」とせがむ。
カチカチのゴムチンコを入り口近辺でじらしながら先っぽだけ入れる。 ソンは無言で奥まで収めようと腰だけがチンコを追いかける。 
完全にインサートするとソンの息が一段と荒くなる。 ああーソンのあそこあったかいね。動かずにしばらくそのままにしてみた。 ソンが、え?みたいな顔をする。 突然激しいピストンをする。 愛液でビチョビチョに濡れた息子が出たり入ったりするたびにテカテカ光っているのが見える。
「フー ンー ンッ フー」 ソンは大きな喘ぎ声は出さない。 いじらしく我慢している様でそれでも肌がしっとり汗で湿っている。 金玉が突くたびにピタンピタンピタンとリズムよく鳴る。 あんまり締め付けはすごい強烈というほどでもない。 しかし膣内は暖かく時々、緩急をつけて肉襞が柔らかく締まってくれる。
片足を持ち上げ横になったマンコに挿入する。 違う肉壁を突いているようで、ソンはいやらしく口を開けて感じている。 ソンの涎が口の回りに広がり、シーツを濡らす。 爪を立てて僕にすがりつく。
ソンはその体の大きさから体重もあることだろう。 すごい騎上位をするのかなと思い、上にさせてみた。 ソンは髪を掻き分けながら、僕と逆を向いて馬乗りになった。 ソンの尻の穴がキュッと締まっているのが見える。 輪っかのような丸いマンコの入り口が僕の大事な部分を食べたり出したりしている。 まるでクレーン車の銀パイプの蝶つがいのようだ。 無色透明の膣分泌液でチンコはテカテカに光ってる。 僕のこの日本製のチンコを一生、南国で育ったソンの内臓の一部としてマンコの中におさめてようか?
よくタイ人は女性器を貝に例える。 日本でも同じだ。 タイ語でホーイ。 逆に男性器はバナナに訳される事が多い。 こっちはクルーアイ。
「ソン、 ホーイ ヤークチャ テンガーン クルーアイ ルパーオ ミーナーム マクマーク」 貝がバナナと結婚したがってるよ スゴイ濡れてるねというと ソンは乗っかったまま「ぶっ(笑)」と吹き出す。 あー今 あそこがすごい締まった。 
一瞬で今のジョークを奴は忘れ、円運動の世界に帰っていった。  
キュポッ チュクッ と濡れた肉同士のこすれる音がする。 
こっちを向かせ座位で頑張る。 ソンは胸を見られるのがいやなのか、なるべく見えない様に両手はおっぱいを覆う様に僕の肩に乗せている。 まあ、ちょっと垂れてはいるんだけどね、気にしないよかわいければ。
男芯がソンの大腸近辺に完全におさまっている。 肉襞で圧縮されたチンコがヒクヒクいって子宮に届こうと働く。 下から彼女の大きなおっぱいを強く揉む。 僕も腰を動かして彼女と逆に動いて摩擦力を上げる。
そのうちソンの動きが激しくなりチンコがもぎ取れるんじゃないかと思うぐらいになる。
「ああー 気持ちいいい  でも 痛いいいいい」そんな声をいつのまにか発していた。
お互いの陰毛が シュッ シュッと擦れあっている。 摩擦で熱い。
大きく3回ほど下半身をチンコにグイッ グイッ グイッと波打ったあと僕の体にぐたーっとなだれ込んできた。 今の3回でイッタのだろう。
彼女は僕の顔の横で、笑顔でフーフー息せき切っている。 顔中すごい汗だ。枕カバーで拭いてあげたあと一旦貝とバナナを離婚させる。
「アアーン だめー」とソン。 まだ収めていたかったようだ。 おっぱいに触ると心臓がドキドキと波打っている。 
もう一度頑張ってみよう。 彼女を寝かせ正上位でピストン運動。 両足を高々と上げて新体操選手のように足を顔に付ける。 それにしても女のコは体が柔らかい。 昔つきあっていた日本の彼女はぽっちゃり型だったが足を大きく広げただけで「イタタタタタタタタタ」だって。 情けないなあ。 ワットポー連れてったら悲鳴上げて泣き叫ぶだろう。
ソンの女陰部内はそれはそれは柔らかい作りになっていた。 
3時間煮込んだ豚の角煮の様に、箸で割ると綺麗な縦縞の繊維が湯気を立てて、うっすらと溶けて二分される様にふくよかで暖かく、それでいてきめこまかい。
北半球に住む我々のような汗腺数の少ない肌はしていない。 まるでソンのそこだけが体に付随したパラサイトのようにマンコだけで独立した皮膚呼吸をしているかのようだ。時々あそこが、ピクピク痙攣を起こしている。 
おもわずこの母なる人間の源に僕の白い毒液を溜めておきたくなった。
ジュッ  ジュッ  ジュッ  ジュッ  ジュッ  ジュッ 息子がヒックヒック泣きそうだ。 脳幹内でドーパミンが放出されている。 ああ海綿体と脳が神経で繋がってるんだなあと思った。  イキそうだ。 出る……
ソンは目を瞑って顔をクシャクシャにしている。 俺がイキそうなのをまだ知らない、教えてやらねば。 なあ、おいと思ったとき!
「あーーーーー! はああ」
極端なピストンをせず子宮の奥深いところでゆっくりこまごまと動かす。  彼女はまだ激しく動こうとする。
「だっ だめ… だめだよ はー マイダイ マイダイ」 引きつった声でソンに言うのが精一杯だった。 そのままソンの体に折り重なった。
「クヒヒヒヒ サバイ ルパーオ?」ソンは目を開けて静かに言った。
「あー 気持ちいいいよおーん」 息を大きく吐くのと同時に僕は日本語で言った。
「ン? アライ? パサーイープン マイカオチャイ」
「サバイ サバイって意味だよ、 き、 も、 ち、 い、 い、ってね」
「ヒモシイイ…..」 変な発音で彼女が言った。

本当は射精後のコンドームは長く女のコの体内におさめておくと精液が漏れてしまったりして危ないのだが、10分ぐらいだろうか。 2人とも重なったまま寝てしまった。
と、いきなりベッド脇の電話が鳴る。 びっくりした僕だったが、彼女は分かってるわよみたいな態度で、受話器を上げる。
しばらくして電話をおき、 ソンがゴムを取出してくれた。 情けなく縮こまったチンコはコンドームの中で精液のプールの中を泳いでいた。
かなり出ていた。 クスクス笑う彼女は「ニアライ? ニーニーニーネ」 なーにこれといった感じで僕をからかう。
「なぜならソンが、かわいいからこんなに感じちゃったんだよ」 
と言うと、口に手をあてて下を向いたまま照れていた。

規定の時間をオーバーしているのだが、気にしない気にしないと彼女は宥める。
おたがいシャワーを浴びたあと、ソンは財布から5センチ四方の小さな自分の写真を取出した。 アパートの自分の部屋をバックにした写真だ。がたいのイイ、ウェストが締まった彼女がタンクトップに青のジーンズ姿で写っている。 ザーメンまみれのチンコを拭いてくれたバスタオルをソンは身にまといながら、壁にたれている白熱灯のもとに行き何やらやっている。 彼女の後ろまで向かうとボールペンで写真の裏に電話番号を書いていた。 
「はい、これ!私の電話番号。 307は内線だからね」
「ありがとう、 ところでソンはどこらへんに住んでるの?」
「この建物のソイのもっと奥よ、 パタナピブンアパートメントっていうの」
「フーン分かった。 何時ごろなら部屋にいる?」
「ここが終わったら隣のエンバシーに行ってカラオケガールにならなきゃいけないのよ。だから、部屋に戻るのは1時か遅くて2時ぐらいかなあ」
「OK じゃあ電話するよ ありがとう ソン」

いそいそと身支度をし、二人でもと来た階段を降りていく。 
一時間半があっという間だった。 彼女にはまた会ってみようと思った。 
さっきの雛壇でソンと別れる。 奴は無表情で、ガラス鉢の中に入っていった。
僕はキャッシャーに行き、ここの名刺が貰えないかとレジのコに聞く。
しばらくして彼女が一つ折りの緑字の名刺を持ってきた。 
おもわず「あっ」と声に出していた。
ここはエンガラ(ANGARA TURKISH BATH Soi new petburi 41 New petburi rd, Bangkok Tel 6527928 2528067-8)であった。
確か600か700が相場だったのだ。 1200も払ってしまった。 場末度が高いパーラーとして知る人の中では有名な所だったが、まさかここだったとは。
場末でも馬鹿にしてはいけないことを悟りました、とさ。





その12  春を売る男達

今日はプロデューサーの谷本さんがバンコクにやってくる日だ。
新宿で月一回は会って食事したりして近況報告をする仲なのだが、アジアの街で待ち合わせすることも少なくない。 彼から電話があり、今朝ドンムアンに着いたらしい。 今フォーウィングスにいるとの事なので荷物をまとめ、タクシーでホテルを目指す。
ラマ4世通りをスクンビット方向に進む。 右手にはバンコクの胃袋、クロントイ市場が広がる。 狭いソイに入り、しばらくしてホテルに着いた。 ガイドブックによると一泊2500バーツらしい。 彼は知り合いの代理店を通して1200で泊まっている。
フロントで谷本さんを呼ぶと、氏は小麦色の肌をあらわにしてやってきた。
「あー 谷本さん久しぶりですね。 調子はどうですか」
「あはは、 調子何とか大丈夫みたい。 それよりもひどいんだよ、 インドネシアで強盗に会っちゃった。 靴とかネックレスとか持ってかれちゃってねー」
「えー 本当ですか! それで警察には連絡したんですか?」
「したした。 でね犯人がすぐ見つかったの。 いやーあっちの警察はすごいねー。 もう僕がねー、 あーでこーでってあっちのおまわりに言ったらさー 30分ぐらいしてすぐ犯人が捕まったね。 あれすごいもんだね。」
「どこでどうなってそんな犯人に襲われたんですか?」
「夜一人で歩いてたの(笑) でもねホテルの前だよ。 前っていってもフロントとかからは死角なんだけどね。 そしたらさー3人ぐらいのインドネシア人がね、 やってきて僕を羽交締めにするの。 羽交締めしたのは2人だったかな? でもう一人が僕の黒の靴をすごい力で取ってね、 首の金のネックレスもひきちぎってね、財布も取られたの」
「はー災難でしたね。 で?警察は」
「3人を捕まえてね、 一緒に僕も調書取るからってんで警察署まで行ったの。 そしたらさー 奴ら、殴る蹴るわ もうあれはすごかったよー。 犯人は地面にひっくり返っちゃってね」
「えっ、 おまわりがですか? 犯人は抵抗しないんですか?」
「しないしない(笑) もうやられっぱなし。 調書なんか全然取らないよ。 でね、靴と財布は戻ってきたんだよ。 警察がすぐ見つけた」
「インドネシアですよね? すごい取り調べだなあ。 それってスマトラですか?」
「そうスマトラ。 メダンだよ、雷太もあれ行ったことなかったっけ?」
「メダン行きましたよ。 1,2日しかいなかったけど。 でも戻ってきて良かったですね、あとはネックレスだけですか」
「いやあれは多分 犯人のボスみたいなのがいるね。 どうも逃げたときどこかに隠してたと思うんだ。 おそらく警察が持ってる」
「おまわりが谷本さんのネックレスをですか!?」
「うん多分そうだね あれは出てこないよもう」
「ふーん でも谷本さんオッチョコチョイだから、そういうの遭遇するのって確率高いですよ。気をつけなきゃ」
「そんなことないよ。 気使ってる、アハハハ」
「とりあえず、現地でのえーと…..インドネシア日系人協会でしたっけ? 案内は終わったんですか? 無事に?」
「うん何とかね。 来月あたり○×市の漁業組合の第二視察団もまた面接しに行くんじゃないかな。 でもあれだよ、日系人差別ってのはあるねー今回しみじみと感じたねー、 いやになっちゃったー」
「あー やっぱり現地人でも1世2世3世の軋轢とかあるんですかね? フィリピンとかもそうでした?」
「んーやっぱりあるね、 経済格差があるからねー。 ゆうべもメダンの日本総領事がさー、協会の人集めて夕食会を開いたんだよ。 谷本さんもぜひ!なんて領事が言うんだけどパスしたよ。 悪口のいいあいなんだもん」
「へー、 そうなんですか。 で東京にはいつ戻られるんですか?」
「あさってにしようかと思って。 ジャルの片道が残ってるから、民博の河野先生とも会わなきゃいけないし」
「じゃあ 今日入れて三日だけですか? 短いですね」
「あなたは何か友達が来るんでしょ? いつだったっけ?」
「明日なんですよ、エアインディアって言ってました」
「あーそう、 じゃあゆっくりしていきなさいよ。 そのお友達ってのはタイ初めてなんでしょ?」
「そうですね、 プーケットとかアユタヤ行きたがってたんで多分行くと思います」

とりあえず今夜は谷本さんと同じ部屋に泊まることにした。 僕が谷本さんと一緒にタイにいる間は生活水準が上がるのだ。 7階の部屋は真下にプールが見え、部屋の設備も冷房、テレビ、電話、ミニバー、セーフティーボックス、温水バス、トイレ、と申し分ない。ふかふかのベッドだ。 こんな柔らかくて大きなベッドでソンとやってみたい。
2階の日本料理屋で10日ぶりに和食を食べる。 谷本さんとじゃないとこういう所は来ない。 入り口においてあった日経を読み漁る。
僕は200バーツの天ぷら定食、谷本さんは同じ値段の生姜焼き定食を頼む。
周りには客は殆どいない。 隣のテーブルには日本人らしき人がタイ人ビジネスマンと英語で話している。
静かな店内が埃っぽく、ギラギラ熱いバンコクを微塵も想像させない。 居心地がイイので小一時間ばかり2人でいた。

夜になり谷本さんとパッポンに行くことになった。 2年ぐらい前にも2人で来たことがあったのだが、ただ踊りを楽しむだけだった。 
谷本さんは性には開放的だ。 ただそこに哲学を求める。なぜ男は女を求めるか?
なぜ人類は子孫を残すのか? それに追求していくときりがないので、僕はいつもはいはい頷いているだけだ。 まあもっとも超人的発想でなければ、彼のような思考ルーチンは結論を生み出さないのだが、彼がバイセクシャルであるという理由もその中に含まれているのだろうか?

タイに来ると、普段日本で考えたこともない性的思考が、大きく僕の頭の中でもたげてくる。 例えばタイの女性。 ごく普通の女性は性に対して非常に閉鎖的とされてきた。
ただ最近、エリート層に入るタイの大学生でさえ、性を安く見積もる材料として、日常生活に取り入れている。 売春をする女子大生がいるのも事実だ。
しかし今だ多くの女性の中では、セックスは婚姻後にするものとしての位置付けが大きい。 殆どはそうではないだろうか?
それに対して性を売る女性たちの何と開放的なこと。 敬虔な仏教徒でもあるタイ人が、貧困という理由だけでああもバーのお立ち台で素っ裸で踊れるものだろうか?
とても同じ国の人間には見えない。 極端な貧困格差が原因だろう。
男性もまたしかりである。 次々に女性の間を渡り鳥のように飛び回る男達。 
ゲイの存在もタイでは容認されている。 結婚こそ法的に認められていないが、タイ国民の間では市民権を既に得ているといっても過言ではない。 羨ましい社会だ。

初めてタイに来た時、僕はこう思ったものだ。
「こんなに暑いんじゃ、仕事したくないのもよくわかる。 こりゃ男も怠けるわけだよな」
タイの男に同情心を寄せた僕だった。

CPタワーの横のソイでトムヤムクン、サテー、カオパット、ヌアヤーンを頼む。
谷本さんはうまいうまいを連発して、2人であっという間に平らげてしまった。
シーロムの偽腕時計屋台を冷やかした後、パッポンを通りすぎる。 スリウォンに出て谷本さんお勧めのゴーゴーボーイに行くことになった。 ラマ4世通りに近いそのゲイバーは7,8軒ひっそりというイメージで密集していた。 ひっそりという表現を使ったのは、客と呼べる客が殆どいなかったからである。 道端に撒かれた色とりどりの電飾が寂しく僕らを照らす。
僕はバンコクのゲイバーは初めてだった。 行こうとも思わなかったが、谷本さんがどうしてもというのでついて行って見ることにした。
客引きの言われるまま、ここが僕のお薦めという2階にある1軒のバーに入る。 谷本さんは足を捻挫しており、僕が肩を担いで階段を1歩1歩昇っていった。
店内に入ると客は5,6人ぐらいいただろうか。 銀色のミラーボールがぐるぐる回り、 30畳ほどのホールの真中にお立ち台があった。 
180はあろうかジャニーズ系の顔をしたウェイターが僕達を席に案内してくれた。
歌舞伎町によくいるホストにそっくりだ。 僕らはハイネケンを頼み、しばらくお立ち台を眺める。 
「僕ぐらいの年になるとねー、こういうとこきてもあんまり男の子達からもてないんだよねー、逆に雷太君ぐらい若ければあの子達すぐ席にきますよ」
「い、いやー ちょっと来られても困るんですけど」
「あっははは。 そんなこと言わないで、社会勉強だと思ってよく見てごらん。 この子達はあれですよ、 貧しい田舎の方からねー やって来るんだろうね」
「僕も以前2丁目でバイトしたことあるって言ったじゃあないですか? 殆ど金目的だったんで、 他のバイトの連中も皆ノンケだったんですけど、 彼らって本当のゲイなんですか?」
「どうなんだろうね? ゲイだとは思うよ」
そのうちビールが運ばれてきた。 パッポンに比べると幾分高い。
お立ち台の男達は黒のブリーフ1丁で踊っている。 10人ぐらいだろうか。 赤いアクリルの番号札をブリーフにつけている。
僕にとってはゲイは未知の世界だから何とも言えない。 興味がないので知ろうともしない。 でも確かに彼らと話すと、性に対する価値観が違うから話してて楽しいのは事実だ。
そのうちに僕の前で体をくねらせていた男が僕をじっと台の上から見ているのが分かった。 笑っている。
あいつ俺のことみてんな…. 
谷本さんもその目線に気付いたらしく、 
「ねー あの子雷太のこと見てない? 席に呼んでみたら? 女のコと違っていいかもよ」
「いやー 遠慮しときますよ。 どうせ話してもその後がないんだから、 変に期待させるとまずいでしょう」
そのうちジャニーズ顔のウェイターがやってきて僕らの横に跪く。
「あの23番のコ、お客さんと話したいっていってますがどうしましょう? 席に呼んでも構わないですか?」 後で知るのだが、彼はウェイターなどではなくこの店の店長だった。
「いいですよ、呼んで来てください」 谷本さんがそういう。 おおーい、勘弁してくれよ。
160ぐらいの背だろうか? 23番の彼が嬉しそうに僕の横に座る。 谷本さんは関係ない方向を向いている。
「こんにちは お元気ですか?」 彼とは英語で会話した。
「元気です。 名前は?」
「雷太。 らーいーたーね」
まあどこの店でもあるような一通りの自己紹介をする。 今となっては23番の彼の名前も年齢も忘れてしまったが、出身がイサーンだったのは覚えている。
肌が綺麗だった、女みたいに。 大腿には毛が全然生えていない。 何となく彼の動きが女っぽかったのが印象に残っている。 ムエタイのプリンヤーにしてもそうだけど、やっぱり女性ホルモンの影響があるのかもしれない。
彼は僕との会話の限度を知ると、無言で肩にもたれかかっていた。手をぎゅっと握ってくる。 2人とも目線は踊っている男達を向いていた。 僕は緊張して手の中が汗ばんでいった。 とても死んだ親父には見せられないショットだ。
このままではいつまでたっても発展しない。 僕が口を割らなければ谷本さんもずっと黙ったまんまだと思った。
「もうそろそろ出ましょうか?」
「えっ? もう出る? いいですよ」
それ以上谷本さんに話すこと言葉がなかった。 期待されても困るし。 23番の彼には優しく口説いて、ピッタリついて離さなかった手を離してもらった。

この世には男と女だけじゃないんですね。 しみじみ思いましたよ。






その13 ノックだ

高架鉄道は夜0時で終わってしまう。 だからもしパッポンで遊んで遅くなった場合、夜の足としては全く使えない。 谷本さんと僕はバーを覗いたあと足早にホテルへとタクシーを走らせた。 
谷本さんがわざわざシングルを取ってくれたので、7階のエレベーター前で別れ一人自室へ向かう。   ホモゲから一転少しカルチャーショックを覚える。
バスタブに熱い湯を貼り、茫然自失と一人湯船に浸かっていると、リリリリーン!!と突然バスタブ横の電話が鳴った。  やべー、フロントからか? お湯出しすぎたのが自動的に下に通知される仕組みになってるのか? と一瞬思った。
ダイヤルの付いていない受話器を取ると何やら聞きなれない声。 誰だ!?
「へへへ アロー?」
「誰?」 なんか若い女の声だ。
「コンニチハ、 雷太さんですか?」
「そうだけど、  あっ! ひょっとしてノック?」
「イエス。 ノックです、 ごめんなさいすぐにベルをかえせなくて。 あたし何回かプラーニーとウィン イン何とかって言うゲストハウスに電話したんだけどいつもあなたがチェックアウトした後だったの」
実は懲りずにフォーウィングスの番号とルームナンバーをナットとノックに予めベルしておいたのだ。 ノックからだとは思わなかった、よく電話くれたね。
「ノック 俺なあ何回もベル鳴らしたんだぜ。 全然連絡くれなくてよー、一体どうしたの?」
「ごめんなさい 最初にベルくれたときあったでしょ? ちょうどあたし友達とスカイトレインに乗ってたの。 でもプルンチットの辺りで電車が故障しちゃってずっと止ったまんまだったの。 あたしも友達も携帯持ってなかったから連絡できなかったんですー えへへー」
初めて奴の声を聞いた。 なんか声だけ聞くと頭悪そうだ。  ズーズー弁である。
ハスキーボイスのシノラー版。 喋り方がそっくり。 
時々会話の節々で「グフフフ」と笑う。
ただ声だけ聞いてノックが一体どんな奴なのか想像する必要は全くなかった。
タイに来る前、ノックは僕にICQ経由で彼女の写真を数枚送ってくれてるのだ。 ノックはショートカットで目が大きく、ちょっと髪にメッシュを入れている。 内田有紀によく似ているといえば分かってもらえるかな?
そんなカオしてる奴がなんでこんなシノラーみたいなトンマな声出せるんだ? 不思議でしょうがなかった。
「そうかあ まっしょうがないね。なんかテストで毎日忙しいんでしょ?」
「いそがしいですー 今週もテストがあるの。 でも本当にタイに来たのね。 ウェルカム トゥ タイレーン」
「ありがとう ノック会おうよ 暇なとき」
「いいですよ えへへ あたし一人でいく? それとも友達も一緒でいい?」
「どっちでもいいよ、ノックの好きな方で。  俺ちょっと明日あさっては人と会わなきゃいけないから 出来れば来週ぐらいがいいな」
「わかったーOKですー。 ねえところで何で声が響いてるの? 今どこそこ?」
「風呂入ってるのー  カオチャイマイ?」
「カオチャイカー(笑) あなたタイ語しゃべる? アタシニホンゴスコシネー」
「どこでノック日本語覚えたの?」
「大学で習った、 うふふふふ あたしうまい?」
「うまいよすごく ひょっとして日本人のボーイフレンドでもいるな?」
いやな予感がするがまさか売春する女子大生じゃあないだろうな……
「いひひひ いないですー 友達はいるんだけどあたしはいません」
「まあいいや、 ノックどこらへんに住んでるんだ? どこで待ち合わせしようか?」
「ラームカムヘン。  んー出来ればあなた エンポリウムまで来れる? あたしよく買い物にあそこ使うの」
「いいよ、 そこのどこ? マックって入ってなかったっけ?」
「マックはない….  んーじゃ玄関で待っててあたし友達と行くから 来週の火曜日のね、 んー えへへ 2時半。 あっ ちょっと待ってくださいー やっぱフジカフェーシャッじゃだめ?(笑)」
「フジカフェーショップ? なんだそりゃ? よくそこに行くのか?」
聞いたこともないコーヒーショップだ。 こいつ待ち合わせに、よりによってコーヒーショップなんか使うか? やっぱり男を漁ってんのか?
「フジカフェーシャッ。 あたしすごい好き。  スクンビットのフジスーパーの前にあるの。 よく友達といくー ぐふふふ エンポリウムからも近いですー」
だから何でそこのフレーズで笑うんだって(笑) おもろいなこいつ。
「わかった。 じゃあ来週火曜の2時半ね。 そのカフェーショップのじゃあ入り口に近いところで座ってるよ」
「はいー、それじゃあね。 ゆっくりあなたお風呂に入り続けてください、 えへへ」
「ありがとう」

なんであんなカオしてる奴があんな声出すんだろう? その頃は佐々木も来てる頃なのであいつも一緒にノックに会わそう。





その14 空振りドンムアン


今夜はスクンビットの高級ホテルだ。 谷本さんが僕のためにシングルを取ってくれた。
窓からは無機質な高層ビル群が見える。 建築基準法が日本ほど整備されてないタイでは、商業地域や文教施設の境目が殆どないですね。 
おまけに借地借家法もないから、地主のほうが部屋を店子に貸すほうが有利ときている。 土地建物に限ったことではなくて、消費者が泣き寝入りするパターンが多いみたいである。 この製造者と消費者の立場が変わらないと、タイはいつまでたっても途上国のままである。 
年々都心部の街並みがビル建設によって変化しているのは事実なようで、確かに5年前と比べると急激な変化だ。 窓から高架鉄道が見える。

今日はやることがある。 東京からやってくる佐々木のピックアップだ。 5時前ぐらいにドンムアンに着くらしい。  奴は先週、千葉にある内定した就職先での研修があったため、僕と一緒にバンコクに来られずにいた。 メールで頼んでおいたAERAと週刊SPA!を持ってきてくれるだろうか?
朝10時前、谷本さんと朝食を摂りにホテルのビュッフェに出た後、彼はそのままガンダプリー通り沿いの旅行代理店に行き、僕はヤワラーのメリーキングスの裏にある九龍健診院に健全たるマッサージに行った。 ここは1時間100、2時間200バーツで程よいマッサージが受けられるところで、安いのでよく利用している。
ただここでもちゃんと金魚鉢があって、お姫様を選ぶようになっている。 ただのマッサージなのに金魚鉢なんて必要なのか?
僕の相手は30後半のおばさん。 足を湯の入った桶で丁寧に洗ってくれて、器械体操なみにそれは念入りに体を揉み解してくれる。 2時間コースをお願いした。

2時すぎ、29番でドンムアンに向かう。 40分と意外に早く着き、仕方ないのでワットドンムアンをお参りして、近くのゲーム屋で1時間ほどプレステをやっていた。

時計を見つつ空港の到着口へと向かう。 そろそろ奴の乗っているエアインディアが到着するころである。 税関からは沢山の外国人観光客が吐き出され、両替やらホテルの予約やらでてんてこ舞いだ。 佐々木には僕が成田を出発するときにドンムアンの見取り図のコピーを郵送で送ったので、お互い初めての待ち合わせでも心配は余りしていなかった。 出口も狭いし、子羊のような顔つきでうろついていれば分かると踏んだもんだ。  約束の5時が過ぎても一向に奴がやってくる気配がない。
到着便の電光掲示板を見ると何とDELAY(遅延)と表示されているではないか。
おーい、だからインドは駄目なんだよ。 と言った自分も、かつては東京行きのエアインディアがエンジントラブルを起こし、ラマ9世通りのサンルートホテルに閉じ込められたこともあったのだ。  
どのぐらい遅れるのか見当のつかなかった僕は、空港公団ビルの中に入っているエアインディアの事務所のドアを叩くことになった。 黒い顔したインド人のスタッフがいうにはどうも機体に異常を発見したらしく、実はこちらに来るべき東京からのエアインディア便も、昨日からこのドンムアンに駐機したままだったのである。 バンコクから東京へさえも出ていなかった。 絶対に佐々木は今日こちらに着けないと考えた僕は、ある一つの別な不安も頭の中にもたげてきた。
あいつ、成田のカウンターで直談判して別便で振り返られてやって来る奴だろうか?という考えである。
もしそうなら今日のいつ頃やってくるか分からない。
考えるのはよそう。 あいつはそんな押しの強い輩じゃない。おとなしく猫の様に待っているタイプだ。
取り敢えず明日の4時半に予定では到着らしいので出直すことにした。 
今夜は成田のホテルで一晩明かすんだな、佐々木。

あとがき


中途半端に終わってしまいましたが僕に記憶があるのはここまでです。
昔を回顧してこのようにHPに投稿してみましたがやはり印象に残っている事は昨日の事の様に覚えているものです。 ここまで熟読して頂いた方、ありがとうございます。
何かあの話の続きが知りたい!と熱望される方には非常に申し訳ない事だと思いますが又、機会があれば売春紀行を書いてみようと思います。
「外道の細道」には常日頃御世話になっています。 少しでも僕の情報が役に立てば、少しでも新たな風俗スポットが開拓できればと切に思います。
最後にご意見、ご感想や批判等ありましたら typeofguy@hotmail.com まで御連絡下さい。宜しくお願い致します。